Warning: Unexpected character in input: '\' (ASCII=92) state=1 in /home/hansen/www/aitop/seminar/wp-includes/Requests/Hooks.php on line 70
電子とイオンの機能化学シリーズVol.1 いま注目されているニッケル-水素二次電池のすべて | AITOP
  • 申込要領

書籍


電子とイオンの機能化学シリーズVol.1 いま注目されているニッケル-水素二次電池のすべて

発刊日 2001年6月25日
ISBN ISBN4-900830-79-8
体裁 A5判 上製 464頁
価格関連備考 本体8,800円+税
発行 (株)エヌ・ティー・エス
問い合わせ (有)アイトップ
TEL:0465-20-5467 E-mail:ktl@r4.dion.ne.jp
フォームでのお問い合わせはこちら
監修 田村 英雄  大阪大学名誉教授・MH利用開発研究会会長
編著 池田宏之助  MH利用開発研究会副会長
岩倉 千秋  大阪府立大学大学院工学研究科教授
松田 好晴  関西大学工学部応用化学科教授
(執筆者25名)
趣旨 【本書の特徴】
高出力・高エネルギー密度、過充電・過放電に優れた特性を有するニッケル-水素二次電池について、多くの図を用いてわかりやすく解説。

監修の辞

  科学における原理・原則は不動ですが,研究開発の進展にともなって,それはより精細に解明,確立されてきています。現在,ハイテクとかファインケミカルなどと呼ばれる「近代科学技術」の展開は,広範,精細に解明された諸現象の原理・原則や,微細組織に及ぶ材料の物性研究に基づく広範で精密な基本的諸特性の整備などに裏付けされ,しかも広範囲に総合されて,初めて確固たる発展がもたらされるものと考えられます。
 このたび,「電子とイオンの機能化学」と冠題して,電気化学の理論と応用について,対象をやや細かく分割し,複数巻の発刊を企画したのも,上述の理念に基づくものです。
 すなわち,電気化学は「化学反応と電気エネルギーの関連を取り扱う科学」と定義され,基本的には物理化学の一部門と見なされてきました。しかして昨今,科学技術の高度の発展の中で,電気化学の理論的研究も進展して,平衡論的にも動力学的にも精細に解明,整備されました。一方,電子工学やエネルギー科学,精密化学などの発展が,電気化学的反応や操作の特異性を認めて,高純度,高精度を求める工業技術に応用されるにいたったのが現状といえます。
 ことにマテリアルサイエンスの分野では,「材料の製造,精製,加工」から「機能の測定,評価」にいたる,多くの工程での重要な操作,反応として電気化学が応用されています。
 本来,すべての物質の機能や特性は,分子レベルにおける内部電子,外部電子や軌道電子などと密接な関係にあります。他方,電気化学は「Electro-Chemistry」の原語が示すように,化学反応と電子(electron)の挙動との関係に注目する学問,と近年理解されるにいたって,材料の機能を取り扱うマテリアルサイエンスの分野における電気化学が,いかに重要かは論じるまでもないことでしょう。
 しかしながら,工業技術としての立場では,電気化学も一般的な単位反応,単位操作と同程度に取り扱われて,電気化学の特徴,すなわち電気化学反応では,
  1)電極電位によって反応の種類が制御され,
  2)反応速度は流れる電流の大きさで制御される,
という優れた解析性,管理性に注目されず,きわだった評価もされていない傾向にあります。そのため応用の面で電気化学的反応や操作を数理的に考察,研究するまでにいたらず,性能,効率の向上を推進するための意欲や努力を阻害する恐れもあります。
 これは要するに,物理化学として基礎理論は高度に発達し,数理的解析も可能となっている学理的な部門と,実学としての工業技術とが機能的に融合していないためでありましょう。
 そこで本企画では,応用電気化学の現場を実例としてとりあげ,そこで実施されている電気化学的操作,反応を理論的に解説し,さらに高度で適切な電気化学的操作,反応の導入が考えられる場合はこれも示唆して,技術的改善の参考にも資していただくことを期待しています。
 なお,現代の工業技術は工程の全般を通じて,技術の総合的構成によって成り立っていることを理解していただくべく,製造や加工,組立などの全工程を具体的に記述して,工業技術者が学ぶべき広範な知識と技術の概略も述べています。
 「電子とイオンの機能化学」の出版計画は叢書の形式をとり,各巻では現在注目されている課題の一つをとりあげてその巻の主題とし,その課題の工業技術において適用される電気化学的操作や反応の理論を解説し,理論の適用・展開による機能材料の開発,材料機能の活用・評価などを実業に即して記述する,というのが基本的編集方針です。  叢書としてとりあげる課題は,当面下記の5巻を決定しました。
  第1巻 いま注目されているニッケル‐水素二次電池
  第2巻 大容量電気二重層キャパシタの科学と技術
  第3巻 表面技術と電気化学(仮称)
  第4巻 リチウムイオン電池(仮称)
  第5巻 固体高分子形燃料電池(仮称)
  第6巻以降は,機能材料の製造・加工,センサ,有機電解合成,生物化学,応用電極触媒,腐食・防食,材料機能の測定・評価など,順次選定の予定です。
  本企画では11名よりなる企画委員会にて,第1巻から以後の各巻の課題を決定し,さらに各巻の編著者(1名~複数名)を選定,委嘱し,編著者によりその巻の編集委員会を編成していただき,各巻の企画,編集を一任しています。
 なお,本企画ではいずれの巻も応用電気化学の研究者,ならびに技術者を対象にしての技術書として編集していますが,電気化学を専攻しようと考えておられる学生の方々にも,よき参考書となるものと考えています。 
 
監修者 田村 英雄 
 
 

序言

  水素吸蔵合金の研究がクリーンな水素エネルギー系の利用と関連して,わが国で研究が始められたのは1960年代の後半のことである。しかし,残念ながら水素の貯蔵,輸送,そして燃料電池などを用いる効率のよい利用はまだ成功したとはいえない。このような経過のなかで,水素吸蔵合金の組成,構造,性質については広く深く研究され,多大な研究成果が明らかにされている。1970年代の半ばには,水素吸蔵合金で作製された電極の電気化学的特性の研究成果が報告された。その後,1980年代に入ってからは,わが国の研究者がニッケル‐水素二次電池の開発に熱心に取り組み,その成果として実用ニッケル‐水素二次電池が実現したことは,誠に喜ばしいことである。
 わが国で開発されたニッケル‐水素二次電池は,各種電子機器の電源として従来広く使用されてきた密閉形ニッケルーカドミウムニ次電池に代わる,大容量で環境にやさしい電池として受け入れられてきた。今日では携帯電話,ビデオ,ノート型パソコンなどの電子機器に用いられ,さらに高出力電池としての特性を応用して,電動工具類の電源としても使用されている。それはこの電池が高出力・高エネルギー密度の電池であると同時に,厳しい使用条件にも対応できること,過充電・過放電にも耐えることができるからである。このような特性は電気自動車の実用化とともに,ニッケル‐水素二次電池とエンジンのハイブリッド車の実現にもつながっている。
 本書では図を多く入れ,高度なニッケル‐水素二次電池について,やさしくわかりやすく説明した。ニッケル‐水素二次電池に興味のある方々はもとより,最近になって水素吸蔵合金やニッケル‐水素二次電池の研究に携わられている方々,またニッケル‐水素二次電池の研究開発に携わることになられた方々,この種の電池の応用分野,さらにその応用の可能性について考えておられる方々のお役に立つことを心より願っている。
 本書を草するにあたり,この分野で活発に活躍されている方々にご執筆をお願いしたところ,快く引き受けてくださり,充実した原稿を執筆していただいたことに深く謝意を表したい。またこの「電子とイオンの機能化学シリーズ」の最初に書となる本書の企画,編集,出版に対して,たえず激励しお世話くださった,(株)エヌ・ティー・エスの松風まさみ氏に厚くお礼申し上げる。 
 
2001年6月  編著者  池田宏之助
岩倉 千秋
松田 好晴 
 

 
 
 

書籍・DVDの内容

第1章  ニッケル-水素二次電池とは 

第1節ニッケル‐水素二次電池の開発経緯 
 
第2節ニッケル‐水素二次電池の基本構成と反応原理 
1. ニッケル‐水素二次電池の基本構成 
2. ニッケル‐水素二次電池の反応原理 
2.1. 充放電反応 
2.2. 過充電過放電反応 
 
第3節ニッケル‐水素二次電池の特徴 
1. はじめに 
2 .ニッケル‐水素二次電池の位置づけ 
3. ニッケル‐水素二次電池の構成と特徴 
4. ニッケル‐水素二次電池の種類と特性 
5. おわりに 
 

  

第2章 ニッケル-水素二次電池の構成材料

第1節 負極材料 
1. はじめに 
2. 型希土類系水素吸蔵合金 
2.1. 型希土類系水素吸蔵合金 
2.2. 組成制御による電池用合金へのアプローチ 
2.3. 表面制御による高性能化 
2.4. 希土類系水素吸蔵合金の製造 
3. 型ラーベス相水素吸蔵合金 
3.1. 型ラーベス相水素吸蔵合金 
3.2. 電池用合金へのアプローチ 
4. おわりに 
 
第2節 正極材料 
1. はじめに 
2. 正極の構成材料 
3. 水酸化ニッケル活物質の構造と反応 
3.1. 水酸化ニッケルの結晶構造 
3.2. 水酸化ニッケルの細孔構造 
3.3. 水酸化ニッケルの充放電挙動 
4. 水酸化ニッケル活物質に求められる必要条件(機能) 
4.1. コバルト添加剤と括物質利用率 
4.2. 水酸化ニッケル活物質の膨潤防止 
4.3. 水酸化ニッケルへの適度な結晶歪みの付与 
5. 正極材料の製法(水酸化ニッケル) 
5.1. ニッケル電極の構成材科と製法 
5.2. 水酸化ニッケルの製法 
5.2.1. 水酸化ニッケル粉体の従来製法(中和法) 
5.2.2. 高密度水酸化ニッケル粉体の製造法 
 
第3節 電解液材料 
1. はじめに 
2. アルカリ電解液の基本特性と電池特性 
2.1. 導電率を高めるために 
2.2. 酸素過電圧を高めるために 
2.3. コバルト導電マトリックス安定化のために 
2.4. 電解液組成のデザインと電池特性との関係 
2.5. 電池への応用の実際 
3. おわりに 
 
第4節 パレータ材料 
1. セパレータ材料 
1.1. はじめに 
1.2. ニッケル‐水素二次電池用セパレータの市場動向 
1.2.1. 小型二次電池の用途別適性 
1.2.2. ニッケル‐水素二次電池の主用途の動向 
1.3. ニッケル‐水素二次電池用セパレータの要求特性 
1.3.1. 一般的な要求特性 
1.3.2. ニッケル‐水素二次電池用セパレータの開発経緯 
1.3.3. ニッケル‐水素二次電池用セパレータへの開発要求 
1.4. ニッケル‐水素二次電池用セパレータの構成材料 
1.4.1. 繊維 
1.4.2. セパレータ基布の製造方法 
1.4.3. ポリオレフインセパレータの親水化処理 
1.4.4. 親水化処理工程 
1.4.5. 親水化処理セパレータの特性(電池評価) 
1.5. ニッケル‐水素二次電池用セパレータの最近の開発状況 
1.5.1. 電池群構成時の耐ショート性の向上 
1.5.2. 細繊維の使用 
1.6. おわりに 
2. 電槽材料 
2.1. ニッケル‐水素二次電池の電槽材料 
2.2. 電池とケース材料の関係 
2.2.1. 円筒形電池(小型) 
2.2.2. 角形電池 
2.3. ト型軽量化を実現するDI缶技術 
2.4. おわりに 
 
  
第3章 ニッケル-水素二次電池の製造工程

第1節 属水素化物負極の製造 
1. はじめに 
2. 湿式プロセス 
2.1. ペースト充填式 
2.2. ペースト塗着式 
3. 乾式プロセス 
3.1. 粉末結着式 
3.2. 粉末焼結式 

第2節 ニッケル正極の製造 
1. ニッケル正極の技術変遷 
2. ニッケル正極の種類 
3. 正極の製造工程 
3.1. 1焼結式正極の製造工程 
3.1.1. 電極基板の焼結工程 
3.1.2. 活物質の含浸工程 
3.1.3. 極板の化成工程 
3.2. ペースト式(非焼結式)正極の製造工程1 
3.2.1. 電極基板の製造(発泡状および繊維状ニッケル金属多孔体) 
3.2.2. 活物質の充填工程 
3.2.3. 極板のプレス端子加工工程 
3.2.4. 極板の化成工程(オキシ水酸化コバルトの導電ネットワーク形成) 
 
第3節 ニッケル‐水素二次電池の構造と寸法 
1. ニッケル‐水素二次電池の構造 
1.1. 電池構成 
1.2. 集電構造 
1.3. 安全構造 
2. ニッケル‐水素二次電池の組み立て工程 
3. 寸法 
4. ニッケル‐水素二次電池のラインアップ 
 
第4節 ニッケル‐水素二次電池の特性および評価方法 
1. 充電特性 
2. 放電特性 
3. 保存特性 
4. 充放電サイクル特性と劣化メカニズム 
4.1. 電池温度の影響 
4.2. 充電条件 
4.3. 放電条件 
5. メモリー効果 
 

第4章  ニッケル-水素二次電池の特性と用途 

第1節 小型高容量電池としての用途 
1. ビデオ,ノート型パソコン,携帯電話など 
1.1. 全体動向 
1.2. 携帯電話市場 
1.3. パワーツール市場 
1.4. ノート型パソコン市場 
2. モバイル通信情報端末 
2.1. はじめに 
2.2. モバイル通信情報端末用電池の種別と特徴 
2.2.1. 各種電池の特徴 
2.2.2. 各種二次電池の用途 
2.3. モバイル通信用電池 
2.3.1. 携帯電話用電池の変遷 
2.3.2. モバイル通信方式の進化と電池 
2.4. 情報端末用電池 
2.5. モバイル通信情報端末の機能変化と電池 
2.5.1. 端末の消費電力変化要因 
2.5.2. 低電圧化の効果および動作周波数増大の影響 
2.5.3. 機能付加,向上による影響 
2.6. おわりに 
 
第2節 大電流放電タイプ(電動工具用など) 
1. はじめに 
2. 高出力ニッケル‐水素二次電池の技術的特徴と主な特性 
2.1. 内部抵抗は高出力の鍵 
2.2. 集電抵抗を低減するためには 
2.3. 主な特性 
2.3.1. 容量エネルギー密度 
2.3.2. 内部抵抗 
2.3.3. 放電性能 
2.3.4. サイクル性能 
3. 電動工具における高出力型ニッケル‐水素二次電池の応用例 
3.1. 電動工具の種類と要求出力 
3.2. セルサイズの考え方と効果 
3.2.1. 高電圧化への対応 
3.2.2. 電池パックの過熱対策 
3.3. 電池パックの設計 
3.3.1. 安全素子 
3.3.2. セルどうしの接続 
3.4. 充電器 
3.5. 推奨される使用パターン 
4. その他の用途,応用例 
4.1. 充電式クリーナ 
4.2. 電動アシスト自転車,電動自転車 
5. 経済性 
6. おわりに 
 
第3節 電気自動車,ハイブリッド車 
1. はじめに 
2. 電池開発の現状 
2.1. PEV用電池 
2.2. HEV用電池 
3. PEV用ニッケル‐水素二次電池 
3.1. 電池構造 
3.2. 電池基本特性 
3.2.1. 放電特性 
3.2.2. 充電特性 
3.2.3. 寿命特性 
4. HEV用ニッケル‐水素二次電池 
4.1. 電池構造 
4.2. 電池基本特性 
4.2.1. 放電特性(出力特性) 
4.2.2. 充電特性(充電受け入れ性) 
4.2.3. 寿命特性 
4.3. HEV用電池パック 
4.4. HEV用角形ニッケル‐水素二次電池 
5. おわりに 
 

第5章 ニッケル-水素二次電池の最近の研究開発動向 

第1節 金属水素化物負極 
1. 希土類系型水素吸蔵合金て 
2. 系(ラーベス相) 
2.1. はじめに 
2.2. 系ラーベス合金について 
2.3. 本合金系の一般的な特徴と課題 
2.4. 本合金系の最近の研究開発動向、 
2.4.1. 容量の向上 
2.4.2. 反応活性の向上 
2.4.3. 耐食性の向上 
2.5. 本合金系のまとめと今後の展開について 
3. BCC型水素吸蔵合金 
3.1. はじめに 
3.2. バナジウムの水素化特性 
3.3. マイクロ集電機能を備えたV‐Ti‐Ni系合金 
3.4. Cr‐Ti‐V系合金 
3.5. おわりに 
4. マグネシウム系水素吸蔵合金 
5. その他の合金系 
5.1. 非晶質水素化物の生成 
5.2. 結晶性合金と非晶質合金における水素吸蔵特性の違い 
5.3. 非晶質水素化物電極 
5.4. 新規材料はあるか 
 
第2節 ニッケル正極 
1. はじめに 
2. 焼結式電極からペースト式電極(非焼結式)へ 
3. ペースト式ニッケル電極の開発の流れ 
4. 水酸化ニッケル粒子の複合化. 
5. ニッケル電極の高温充電特性の向上 
5.1. ニッケル電極の充電反応と酸素発生反応 
5.2. コバルトの固溶体添加の効果 
5.3. 希土類酸化物の添加の効果 
6. ニッケル電極のさらなる高容