Warning: Unexpected character in input: '\' (ASCII=92) state=1 in /home/hansen/www/aitop/seminar/wp-includes/Requests/Hooks.php on line 70
バイオミメティックスハンドブック | AITOP
  • 申込要領

書籍


バイオミメティックスハンドブック

発刊日 2000年9月13日
ISBN ISBN4-900830-61-5
体裁 B5判 上製 1250頁
価格関連備考 本体62,000円+税
発行 (株)エヌ・ティー・エス
問い合わせ (有)アイトップ
TEL:0465-20-5467 E-mail:ktl@r4.dion.ne.jp
フォームでのお問い合わせはこちら
 編集代表 長田 義仁  北海道大学大学院理学研究科教授
編集委員 甲斐 昌一  九州大学大学院工学研究院教授
嘉数 侑昇  北海道大学大学院工学研究科教授
片岡 一則  東京大学大学院工学研究科教授
酒井 清孝  早稲田大学理工学部応用化学科教授
田中 順三  科学技術庁無機材質研究所総合研究官
(執筆者全233名)
趣旨 【本書の特徴】
「生体に学び、生体を超える」―学問分野を超えた新しいバイオミメティックスの定義を提唱。形・構造・材料・情報伝達・輸送機能、エネルギー…生物の機能を模倣することで、可能になることとは?その工学的応用の最新成果と可能性を幅広く示唆した、世界初の総合的バイオサイエンスの成書。

序論に代えて

 バイオミメティックス(Biomimetics)とは,どのような学問領域を指しているのか,使う人や背景となる専門分野によってさまざまであり,まだ明確な定義はないようである。言葉どおりに訳せば,生物を模倣して役立つ人工システムを構築する,ということになろうが,生物の何を模倣するのかがはっきりと定義されていないのである。
  古くから引用される事例であるが,人は空を飛ぶ鳥を模倣して飛行機を発明したということになっている。では,飛行機の発明はバイオミメティックスの偉大なる古典であるのか。もし,このように生物の機能から触発されて開発された科学技術を対象とするならば,現代科学技術の成果の多くはその範疇に入ってしまう。いわく,魚を真似て船舶が,軽く美しい絹に啓発されてナイロンが,血液の機能を真似て人工血液が,といった具合である。したがって,学問領域としてのバイオミメティックスを考えるならば,そこにより明確な定義がなされることが望ましい。
 「バイオミメティックス」なる用語は「バイオニクス」などと並んですでに1960年頃から「自然を模倣した,ないしはそれに類似した構造科学」と定義され,会議なども催されていたようである。このあたりのいきさつは,本書J.F.V.Vincent氏の「バイオミメティックス―技術移転に関する序論」(p.3)に詳しい。化学の分野ではこの用語は1972年,Ronald Breslow教授(コロンビア大学)の論文“The Nature of Aromatic Molecules”中で使われている。ここでは“Biomimetic Chemistry”を生物化学,とくに酵素反応を化学的に実現する領域として考えている。その後,この言葉はより広い意味で生体物質や生体機能を模倣したり,シミュレートしたりする学問として用いられるようになり,最近では,生物が有する優れた物質や機能を広く人工的に取り入れ,生物類似あるいはそれを超える機能を有する物質系やシステムを実現する学問領域としてとらえられるようになってきている。このような流れの中で,すでに数多くの書籍が出版されているし,この言葉を冠した研究機関や組織もある。最近に至って数々のシンポジウムも開催されるようになっている。
  バイオミメティックスの研究領域が,先述のように,生物の仕組みに触発され,それを学び,人知を加えることによって人間社会に役立つような人工システムを構築することを対象とするならば,生物の仕組みを広く深く知ることは,当然のことながら重要になってくる。
  生物を研究村象にするとき,科学者は便宜的に,それを構成する物質,それを動かすエネルギー,それを統制する情報といったカテゴリーに大別し,それぞれが,生体内において合目的的に生成され,変換され,伝達されることによって生命活動は営まれるととらえてアプローチする考え方がある。この場合,バイオミメティックスの研究対象もおのずから物質・エネルギー・情報の生成・変換・伝達として単純化し分類することも可能である。しかしながら,学問のダイナミズムは生物の仕組みが分かれば応用学問としてのバイオミメティックスが発展するといった単純な構図ではとらえきれまい。対象とするものの理解から新しい学問が一元的に生まれるばかりではないことは,これまでの数多くの歴史的成果が示すところである。むしろ学問領域内や領域間に横たわる階層的相互関係の解明こそが新しい学問の発展の契機になるのではないかと筆者は考えている。
 本ハンドブックを出版するに至った動機の一つは,学問におけるこのようなダイナミズムに想いをはせたいがゆえである。すなわち,生物界で行われている多彩な仕組みが平明に記述され,その原理が抽出されることによって個々の研究者が仮想とする人工システムに想いをめぐらし,それを創製するきっかけとなることを期待したいのである。
そのため,編集の基本方針として,序論「バイオミメティックス―技術移転法に関する序論」に続いて,総論基礎編と機能応用編とを設けた。前者では,生体で見られる物質・エネルギー・情報の生成・伝達・輸送の仕組みとその特異性が中心に語られている。後者では,それらにできるだけ対応したかたちで,人工構築系で展開されている成果が詳述されている。もとより生物とその機能は多彩でかつ階層的である。「バイオミメティックス」においてもそのような系統性があってしかるべきであると考え,それなりの工夫をした。
 編集者一同は可能な限り多くの情報を集めようと努めたが,欠けている部分やバランス上の不釣合いがなくもない。しかしながら,「バイオミメティックス」という新しい学問領域においてそのテクスチュアを明らかにしそれを可視化することは,この分野の発展のマイルストーンとして重要な意味があると考えている。読者諸兄姉は,各章・各項をハンドブックとして活用するだけでなく,21世紀を迎えてこれからこの領域が飛躍的に発展するためにも,このような視点からも広く眺めていただきたい。
 本書の編集委員は,無機材料,生医学材料,化学工学,応用物理学,情報工学,そして高分子科学をそれぞれ専門としており,編集作業の終了まで,何度となく議論を重ね,この新しい学問の構成を明らかにするように努めた。それは,広大な学際領域であるがゆえに言い表せぬほどの難しい作業であったが,一面楽しくもあった。
 本書出版にあたり,国内外で先導的な役割を演じられている気鋭の研究者に執筆をお願いすることができた。執筆項目は延べ15章に及び,取り上げた項目は150以上,そして執筆者は233名に達している。どの執筆者も,それぞれの分野の第一人者であるがゆえに,きわめて多忙であったにもかかわらず,快くご執筆いただいたことが何よりありがたく,編集者一同,心よりの謝意を表したい。
  本書はエヌ・ティー・エス編集企画部松風まさみ氏の熱心な提案がきっかけとなって生まれたものである。本書の完成にこぎつけることができたのは,同氏の絶えざる努力と励ましの賜であることは論を待たないが・吉田隆エヌ・ティー・エス社長の熱意とご理解があったからこそである。あわせて謝意を表する次第である。  
 
2000年9月30日  編集委員を代表して  長田 義仁 
 

書籍・DVDの内容

序論
バイオミメティックス-技術移転法に関する序論 
アイデアをめぐらせる バイオミメティックスマップ TRIZの自然への応用 
  
総論基礎編
第1章 形と構造 
第1節 生物における形の階層性 
 生物体にみられる階層構造 形づくりの現場から設計図を切り離す 設計図の働き 形は自己構築によってできる 
第2節 自己組織化の基礎 
 自己組織化と構造形成 沈殿パターンと結晶成長 リミットサイクルと生物時計 不安定現象とその数理 情報の縮約 
第3節 自己再生と自己修復 
 組織再生とバイオマテリアル コラーゲン 再生とコラーゲン 修復 修復と細胞外マトリックス 修復とサイトカイン,成長因子 組織修復促進材としてのコラーゲン 組換えコラーゲン コラーゲンと成長因子 
第4節 生物時計 
 生物時計の機能 生物時計の構造 リズム発振機構 
第5節 バイオミネラリゼーションからバイオミメティックスへ 
 バイオミネラリゼーション バイオミメティックス バイオミメティックスへの将来のアプローチ 
第6節 タンパク質の自己集合 
 タンパク質のドメイン構造 ドメイン構造とサブユニット タンパク質構造の多様性 安定な集合体と制御型集合体 サブユニット間相互作用 タンパク質集合体の対称性 球殻構造の形成と超分子 バクテリオファージにみる超分子複合体の分子集合 タンパク質の集合と疾患 まとめと今後の展望 
第7節 化学と生物学におけるパターンと波 
 生体システムに対するバイオミメティックなアプローチ 伝搬する円環波とスパイラル波 チューリングパターン 非拡散輸送カップルした化学反応がつくる自己組織化構造 
第8節 インテリジェント材料のバイオミメティックス 
 定義インテリジェントな生体模倣 
 
第2章 情報 
第1節 生命の起源とインフォメーション生成 
 起源にかかわる事実問題 熱力学第一法則から起源へ エネルギー分布緩和と温度緩和 温度緩和がもたらす化学進化 温度緩和がもたらすダーウィン進化 
第2節 脳のカオスと情報処理 
 脳の活動の力学的自由度はいかにして下がるか-神経回路モデルのカオス 脳のカオス カオスと脳の記憶機能とのかかわり 
第3節 生体システム論の基礎 
 生物の複雑さについて 生き生きとしている現象 秩序と乱れ 自己組織 力オス 生命-生命とは何か 
第4節 遺伝子機構の応用’遺伝的アルゴリズム 
 遺伝的アルゴリズム 遺伝子型と表現型 遺伝的アルゴリズムの研究と進化 遺伝的アルゴリズムの応用 
第5節 生体情報計測:バイオセンサ 
 酵素センサ:enzyme-based biosensor 微生物センサ:microbial sensor 免疫センサ 注目されるバイオセンサ:DNAセンサとNOセンサ 
 
第3章 輸送現象 
第1節 生体系における熱移動 
 生体における熱収支および体温 生体組織内の熱移動 温熱環境における人体の熱的モデル 
第2節 生体系における物質移動 
 生体内における物質移動モデル 臨床への応用 
第3節 バイオレオロジー 
 微小循環系のバイオレオロジー:血流抵抗 血管のバイオレオロジー:血管壁の構成と弾性特性 血管内皮細胞のバイオレオロジー 臨床バイオレオロジー:血流とアテローム性動脈硬化症 
 
第4章 生体エネルギー論 
第1節 呼吸生理’ヒト 
 気体(ガス)の物理的側面 呼吸器の構造と機能 換気と肺胞でのガス交換 肺循環 酸素および二酸化炭素の輸送と酸‐塩基平衡調節 呼吸の調節 
第2節 魚類の鰓呼吸 
 魚類の鰓の形態学 魚類の鰓の生理学 
第3節 代謝 
 肝構成細胞の分離法 立体培養の基本的ストラテジー 肝細胞の立体培養 スフェロイドの肝特異機能 人工肝臓の代謝モジュールとしての利用 
第4節 排泄 
 排泄の定義と腎臓 腎臓の構造と機能 腎におけるエネルギー代謝 
第5節 分子モーターによる化学’力学エネルギー変換 
 ATP加水分解と力学過程の共役 アクトミオシンATP加水分解 ミオシンとアクチンの相互作用 
第6節 光合成の電子移動とエネルギー変換 
 進化する電子デバイス 生体エネルギー変換 光合成に働く機能分子(色素)の構造と機能 細菌型光合成の構造と機能 植物とシアノバクテリアの酸素発生型光合成 タンパク質内の電子移動のメカニズム 光エネルギーを確保するアンテナ色素 バイオミメティックス 
第7節 光合成反応の光化学初期過程 
 光合成の素過程をいかにして追跡するか-フェムト秒時間分解蛍光分光法 光合成反応中心における量子化連鎖反応 光合成反応中心におけるカロテノイドの励起緩和と励起移動 
 

機能応用編

第1章 分子とその集合体
第1節 化学振動と情報伝達 
 ベローゾフ・ジャボチンスキー反応 数理モデル 化学振動を利用した情報伝達と情報処理 今後の課題 
第2節 核酸塩基の低次元自己組織化 
 核酸塩基分子自己組織化のSTM観察 分子の表面拡散-時間依存性および低温観察 塩基分子間の水素結合 超構造形成メカニズム-アデニン分子の場合 超構造形成メカニズム-ウラシル分子の場合 超構造の人為的制御-特定個所での構造創成 
第3節 DNAコンピューティング 
 DNAデジタル計算 自律的分子計算 DNA計算の応用 
第4節 タンパク質の結晶化 
 タンパク質分子の特徴 タンパク質の溶解度 結晶成長速度 成長機構 結晶化したタンパク質は変質していないか タンパク質の結晶化の実際 
第5節 人工機能タンパク質 
 非天然アミノ酸の導入によるタンパク質機能の有機化学的拡張 非天然アミノ酸のタンパク質への部位特異的導入’アミノ酸の拡張とコドンの拡張 ストレプトアビジン中での光誘起電子移動-電子移動の距離依存性 アンスリルアラニンを導入したシトクロムb5 アンスラキノニル基を導入したDNA結合タンパク質によるDNAの光切断 抗原抗体反応の光可逆制御 緑色蛍光タンパク質(GFP)の蛍光色の改変 
第6節 人工制限酵素 
 遺伝工学における制限酵素の役割 なぜ人工制限酵素が必要なのか 人工制限酵素の分子設計 核酸を加水分解する触媒の開発 人工制限酵素の構築 
  
第2章 生体膜と細胞
第1節 生体膜の物理化学的性質と物質輸送 
 分子集合体としての生体膜 生体膜の物質輸送 “生きている状態”と生体膜の物質輸送 
第2節 人工膜の物理化学的性質と物質輸送 
 非平衡の熱力学に基づく現象論方程式 中性物質の透過 電解質の透過 チャネル内のイオンの輸送 
第3節 人工膜のパターン形成と環境 
 蛍光顕微鏡による気液界面単分子膜のその場観察 単分子膜’高分子コンプレックスにおける相分離制御 分子認識に誘発された結晶クラスター形成 蛍光顕微鏡による形態観察のセンサ設計への応用 
第4節 アフィニティ膜 
 アフィニティ分離用の既製膜の改良 集積アフィニティ膜形成 
第5節 抗原に応答する抗体-サイトカインキメラレセプター 
 抗体FvとEPORのキメラレセプターの構築 キメラレセプターを導入したBa/F3細胞 キメラレセプターを導入した32D細胞 
第6節 タンパク質の細胞内取込みとintracellular trafficking 
 生理活性タンパク質の生体内挙動 toxin軸の細胞内挙動 細胞内挙動の制御とデリバリーへの応用 
 第7節 細胞モデルの構築 
 細胞モデルとは 微小管成長によるリポソームの形態制御 アクチン線推形成によるリポソームの変形 人工細胞への挑戟 
第8節 細胞における受容体シンクロナイゼーション 
 生体の分子シンクロナイゼーションシステムに学ぶ材料システムの設計とは 細胞受容体(レセプター)の分子シンクロナイゼーションを制御する材料 分子シンクロ型肝細胞特異的接着材料の応用による細胞機能の制御 今後の課題 
第9節 磁性細菌 
 磁性細菌による磁気微粒子の合成 敵性細菌の分離とキャラクタリゼーション 磁性細菌粒子合成に関与する遺伝子の探索 磁性細菌粒子の合成機構 磁性細菌粒子の工学的利用 
第10節 細胞の電気刺激応答 
 定電位制御での細胞培養 低周波交流電場による細胞分化の誘導 低周波交流電場による遺伝情報発現プロセスの活性化 電気刺激応答細胞の創出 新しい細胞工学の展望 
第11節 in vitro自己増殖系 
 生物の自己増殖とは RNA型対応づけ自己増殖 ウイルス型対応づけ自己増殖 細胞型村応づけ自己増殖 その他 
  
第3章 組織と器官 
第1節 筋肉  
 バクテリアのべん毛モーター 筋肉の収縮メカニズム 消化管運動 尿管,膀胱,排尿 
第2節 硬組織  
 硬組織マトリックスのバイオミメティックス 骨とカルシウム代謝のホメオスタシス 骨形成と骨折治癒のメカニズム 骨リモデリングの生化学 骨髄造血の発生と重力作用 骨・軟骨材料の自己組織化 異所性の骨形成 
第3節 骨・関節・軟骨材料 
 有機無機複合材料の基礎 生体内石灰化反応に倣った人工骨の調製 アパタイト結晶の成長機構 軟骨材料 軟骨・関節・摺動部材 キチンと無機物 コラーゲンと無機化合物 絹と無機化合物 人工関節 人工靭帯 人工骨が倣うべき骨の粘弾性 ハイブリッド型人工歯根の開発-セメント質・歯根膜・固有歯槽骨の再生 
第4節 皮膚  
 人工皮膚 薬物の経皮吸収と吸収促進剤 
第5節 心臓  
 心臓の機能:cardiac function 
 人工心臓 人工心臓のデザイン 人工弁の構造と材料 
第6節 肺  
 肺の形態形成と機能 人工肺  
第7節 ハイブリッド型人工肝臓 
 ハイブリッド型人工肝臓 人工肝臓 
第8節 消化器  
 薬物の腸管吸収とその促進 噴門:逆流防止弁 人工肛門,制御弁 
第9節 ティッシュ・エンジニアリング 
 ティッシュ・エンジニアリングの基礎 ティッシュ・エンジニアリングのためのバイオマテリアル 生物組織の形態形成:tissue morphogenesis 神経組織の誘導と生体材料 血管のティッシュエンジニアリング 軟骨形成 骨組織誘導再建法と生体材料 
 
第4章 感覚器 
第1節 視覚 
 視覚情報とその処理 人工水晶体:調節機能 光調節機能性材料 人工網膜 
第2節 嗅覚情報とその処理 
 嗅細胞とにおいの受容機構 嗅覚受容器の電気生理 嗅球の神経ネットワーク系 嗅球以降の高次中枢への嗅覚神経投射 ヒトの喚覚の無侵襲計測 においの認知・認識 
第3節 聴覚情報とその処理  
 聴覚器官の構造と機能 聴覚中枢系の機能 
 第4節 味覚情報とそのセンサ化  
 味の受容 味覚センサの構成 基本味とアミノ酸への応答 食品の味の測定 熟成管理 展望 
第5節 機械感覚器の高感度化と熱雑音対策  
 感覚器の感度 気流感覚器 気流感覚毛の機械設計の解析 エネルギー閾値 感覚細胞の内部熱雑音と微弱信号の検出 まとめ 
第6節 生体計測 
 生体分子計測とバイオセンサ 化学IC用光センサリアクター 
 
第5章 脳神経系 
第1節 脳を含む生体のカオス現象とその機能 
 人工神経回路網モデルにおける例 脳を含む生体におけるカオス研究とその応用例 
第2節 思考・自我の脳内メカニズム 
 思考のベースとしてのワーキングメモリー 自我とワーキングメモリー ワーキングメモリーを担う前頭連合野 前頭連合野と結びついた思考と自我 思考と自我のベースとしてのワーキングメモリー過程 前頭連合野の認知コラム説 
第3節 脳内高速演算回路の形成機構 
 視覚による形状認識の神経路 発火潜時による競争仮説 モデルによる検証 発火潜時競争機構の特徴と限界 
第4節 感情の脳内メカニズム 
 心理学に見られる感情概念 情動・気分を解発する脳システム 情動の古典生理モデル 現代の情動にかかわる生理機構 
第5節 学習・記憶の分子過程 
 学習・記憶の分類 学習・記憶行動と脳神経機能 シナプスの分子機構 分子から行動へ 前頭前野皮質のグルタミン酸とドーパミン性神経伝達とワーキングメモリー 
第6節 子猫ロボット行動制御のための進化ハードウエア技法による7,500万個の人工脳細胞の構築 
 進化ハードウエア ニューラルネットワークモデル CAM-脳マシン:CBM 進化したモジュール 子猫ロボット「ロボキティ」短期的展望と長期的展望 
第7節 神経ネットワークモデル構築 
 分子組織体による神経機能素子 ニューロインターフェース 単一ニューロンによる機能素子構築の試み ニューロネットワークの構築 
 
第6章 免疫系 
第1節 免疫システム 
 免疫の仕組み 免疫を担当する組織・細胞 免疫応答の機構 
第2節 サイトカインの中枢作用とその細胞分子機構 
 IL-1の中枢作用 IL-1の脳への作用機構 脳内のIL-1 
第3節 免疫相互作用を利用する分離 
 アフィニティクロマトグラフイーとその免疫リガンド 種々の特異性を有する分子の取得法 抗体を用いる免疫分離例 
 第4節 ワクチン開発 
 ワクチン概論 新しいインフルエンザワクチンの開発 
第5節 寄生虫感染と免疫系 
 宿主にIgEを誘導する寄生虫体内の活性物質 寄生虫感染時の高IgE血症はTh-2反応が誘導する 宿主に非特異的IgEを誘導する機序 寄生虫由来の非特異的IgEはアレルギーを抑制する 寄生虫感染はIgE抗体産生を抑制する 抗IgE抗体による治療の可能性 
 
第7章 分泌と体内輸送系 
第1節 人工膵島’膵島機能の機械的再構築 
 血糖制御システム 血糖計測システム 人工膵島の臨床応用 
第2節 バイオ人工膵島’膵臓における膵細胞 
 膵β細胞のインスリン分泌機構 膵内分泌細胞(細) バイオ人工膵島における膵細胞の役割 
第3節 バイオに学ぶ薬物キャリヤ設計 
 DDSによる標的治療 薬のナノカプセルとしてのブロック共重合体ミセル 高分子ミセル型抗ガン剤 静電相互作用に基づく高分子ミセル形成 酵素を内包する高分子ミセル PICミセルの遺伝子ベクターへの展開 
第4節 新しい生分解性高分子による薬物送達システム 
 ポリロタキサンの構造的特徴を考慮した生分解性高分子の設計とDDS研究への展開 IPNの絡み合い構造により制御されたシンクロナイゼーション刺激応答型DDSへの研究展開 ミクロ相分離構造を有する多糖によるペプチドDDS 
第5節 インテリジェントゲルと生理活性物質との相互作用と放出制御 
 物理刺激に応答するゲル 化学刺激に応答するゲルからの薬物放出 タンパク質の刺激応答性を利用したインテリジェントゲル 
第6節 酸素輸液としての人工赤血球 
 酸素輸液への期待 ヒトヘモグロビン小胞体の構成 動物投与試験 情報分子(NO,CO)の役割 グロビンタンパク質を含まない酸素輸液 その他の例 
第7節 血管内皮細胞のバイオメカニクス 
 血管内皮細胞が受ける剪断応力 剪断応力負荷実験法 剪断応力に対する内皮細胞応答 内皮遺伝子の発現調節 剪断応力の情報伝達 
第8節 生体膜類似表面を持つ血液適合性ポリマー 
 バイオミミッキングによる血液適合性ポリマーの考え方 リン脂質分子を吸着させた表面 リン脂質極性基を配列した表面の特性 リン脂質分子を組織化するポリマーの創製 生体膜類似構造表面での生体反応 
第9節 遺伝子治療のためのウイルスベクター 
 レトロウイルスベクター アデノウイルスベクター アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター その他のウイルスベクター 
第10節 non-viral遺伝子キャリヤ 
 カチオン性リポソーム HVJリポソーム 微粒子 カチオン性ポリマー naked DNA 修飾オリゴ核酸 
 
第8章 運動系 
第1節 生体模倣ソフトアクチュエータ 
 ソフトアクチュエータの構造 電解伸縮のメカニズム 電解伸縮の定量的測定 ポリアニリンの電気化学的酸化・還元と伸縮挙動 伸縮率の酸化・還元率と陰イオン依存性 伸縮率のpH依存性 伸縮の時間応答 伸縮率の負荷特性と異方性 
第2節 人工筋肉 
 ゲルとは ケモメカニカルの概念 
第3節 筋肉モデルとしての自励振動ゲル 
 時間的・空間的秩序を生み出す化学振動反応:Belousov-Zhabotinsky反応 自励振動機能を持つ高分子ゲルの設計と構築 
第4節 マイクロマシンのアクチュエータ 
 電磁アクチュエータ 静電アクチュエータ 圧電アクチュエータ 形状記憶合金アクチュエータ 
第5節 ヘビの運動形態の解明 
 ヘビの蛇行滑走体形曲線の生理学的検討 ヘビの定常直進蛇行滑走体形曲線 筋肉の収縮力分布関数 滑走効率の比較 
第6節 繊毛や筋肉に学ぶマイクロアクチュエータと搬送システム 
 生体に倣うアクチュエータ 微細な力発生要素を集積したアクチュエータ 生体に学ぶ搬送システム 
第7節 生物触覚から人工触覚へ’筋運動感覚による知覚および触覚 
 人体センサ機能 人工ボディ感覚センシング 
第8節 自律適応型筋電義手 
 筋電義手の技術的課題 自律適応型電動義手 評価実験 
第9節 高分子アクチュエータの応用’カテーテル・内視鏡・小型生物モデル 
 高分子アクチュエータ 血管内手術用カテーテルへの応用 内視鏡への応用 小型生物モデルの試作 高分子アクチュエータ応用の可能性:人工筋肉 
第10節 人工筋肉としての電気応答性高分子’その可能性,機能,そしてチャレンジ 
 生物筋肉とサイエンスフィクション イオンポリマーメタリックコンポジット(IPMC;イオン性高分子-金属複合体) カーボンナノチューブ 静電遮へいポリマー(ESSP)アクチュエータ 
第11節 ケミカルモーター 
 自発運動のメカニズム 制御された連動 高速運動のメカニズム 運動効率と高効率システムの開発 ゲルモーターを用いた発電 
第12節 親水・疎水で運動するシステム 
 疎水性相互作用とは 疎水性相互作用によるずれの力 温度相転移性高分子の利用による親水・疎水モーター機構 疎水性勾配を利用する駆動法 疎水性モーター:連続駆動系とその性質 管内を走行する液柱 
第13節 植物の動きの機構 
 一般的な膨張反応と成長 進化した運動組織と器官 刺激としての光 化学的刺激と生理学 機械的刺激 気孔 湿度効果 
 
第9章 個体系 
第1節 魚介類 
 人工鰓 ナマコの皮’硬さ可変の適応材料 炭酸殻バイオミネラリゼーション-貝と真珠 
第2節 寄生虫による宿主の行動の制御 
 槍形吸虫Dicrocoelium dendriticmのメタセルカリアに感染したアリの草への固着 裂頭条虫Schistocephalus solidusのプレロセルコイドに感染したトゲウオのサギによる捕食 縮小条虫Hymenolepis diminutaのシスティセルコイドに感染した甲虫の行動の変化 鉤頭虫のキスタカントスに感染したヨコエビの水鳥による捕食 鉤頭虫のキスタカントスに感染したゴキブリの行動変化 寄生虫感染したマウスの行動の変化 ハリガネムシおよびMermithid線虫に感染した昆虫と水辺における成虫の脱出 
第3節 昆虫 
 神経ホルモンによる性行動の発現調節 昆虫の飛翔メカニズム 昆虫の闘争行動の発達と環境要因 昆虫の干渉色をミミックする 生物紡糸-カイコの紡糸 
第4節 動物’カエルの視覚性行動の発現機構 
 カエルの視覚性行動 カエルの網膜における情報処理 網膜-視蓋の投射地図 視蓋における情報処理 両眼視の神経回路 カエルの脳から計算機へ 
第5節 植物  
 植物の形態と機能の関係 外環境に依存する植物の自己組織化’タケ 植物を利用するセンサ技術 デンプンの光合成 
 
  

第10章 生体環境 
第1節 衣服 
 体温調節 防水・透湿防水 発色 風合い 
第2節 熱環境デザイン 
 熱環境デザイン 環境共生住宅と材料計画 
第3節 生物の情報処理’粘菌を例に 
 粘菌の不思議 アメーバ細胞の形状と“計算” 粘菌の形状と化学パターン形成 解糖系ゲルにおける時間空間パターン 振動位相パターンによる好き嫌いの判断 位相スイッチによる流動の制御 変形体のフラグメンテーション:サイズの自己制御 光受容分子を求めて リズム素子の自己生成 まとめと展望 
第4節 植物の環境応答 
 植物の種子の発芽と成長 いかにして植物は環境に応答するか 環境ストレスとバイオフォトン バイオフォトンによる植物の環境応答計測 環境応答と生態系 
 
第11章 バイオミメティックスの将来 
第1節 人工生命システム 
 コンピュータの中の生命 モデルの構成論的構築 実世界への進出 実モデルの構築 
第2節 電子細胞の構築  
 細胞シミュレーション研究の現状 バーチャル自活細胞 E-CELLシミュレーション・システム ヒト赤血球モデル 
第3節 マイクロチップ上でのタンパク質合成-ウェットシステム構築の試み 
 マイクロマシン技術とウェットな対象物 マイクロチップの製作と動作の確認 タンパク質の生合成実験 
第4節 化学ICチップファミリー 
 化学ICの提唱 マイクロ光造形法:IHプロセス 化学ICの開発 医学・生命科学への展開 
第5節 細菌細胞の人工モデル 
 バーチャル大腸菌 大腸菌の探索行動と移動ロボットの行動制御 
第6節 バーチャルリアリティ  
 バーチャルリアリティ アールキューブ RCML:アールキューブ・エムエル ヘッド・マウンティド・プロジェクター:HMP 相互テレイグジスタンス 
第7節 医療福祉ロボット 
 医療福祉ロボットの特徴 外科医の新しい目と手 福祉工学 ロボット技術とパワーアシスト技術 福祉ロボットの例 医療福祉ロボットの未来