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実感する化学 上巻 ~地球感動編~ | AITOP
  • 申込要領

書籍


実感する化学 上巻 ~地球感動編~

発刊日 2005年12月1日
定価 本体3,000円+税
頁数 416頁
造本 B5
ISBN ISBN978-4-86043-096-2
発行 (株)エヌ・ティー・エス
問い合わせ (有)アイトップ
TEL:0465-20-5467 E-mail:ktl@r4.dion.ne.jp
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監修
A Project of the American Chemical Society
訳:廣瀬千秋	東京工業大学名誉教授、理学博士
編集委員
A Project of the American Chemical Society

代表執筆者
Lucy Pryde Eubanks	 	(Clemson University)

執筆者
Catherine H. Middlecamp	 	(University of Wisconsin?Madison)
Norbert J. Pienta	 	(University of Iowa)
Carl E. Heltzel	 	(Transylvania University)
Gabriela C. Weaver	 	(Purdue University)

訳
廣瀬千秋	 	(東京工業大学名誉教授、理学博士)
趣旨 【本書の特徴】
原書 『CHEMISTRY IN CONTEXT: APPLYING CHEMISTRY TO SOCIETY, FIFTH EDITION』(2004年) McGraw Hill (米)   原書著者 Lucy Pryde Eubanksほか    アメリカ化学会企画の、身近な社会・生活上の問題を切り口にした化学入門書。フルカラーで、図表・写真、練習問題を多数掲載し、教科書にも最適。上巻では様々な角度から環境問題を論じ、化学における基本的な概念を組上げる。(下巻-生活感動編-はこちら)   お詫びとお願い 2005年12月1日付発行の1刷に、上・下巻とも内容の一部訂正がございます。 つきましては、弊社全額負担にて2006年1月23日出来の2刷とお取替えいたします。 お手数ですが、1刷をご購入の方は、下記までお問い合わせください。 エヌ・ティー・エス 科学コミュニケーション推進部 TEL:03-3814-3894

翻訳にあたって


翻訳にあたって 2005年盛夏

 訳者にとって、本書との出会いは4年前にさかのぼる。東京工業大学資源化学研究所を定年退官して、30年余にわたった研究者生活から基礎化学を説く非常勤講師に転じた年である。東京工芸大学の植村允勝教授(現名誉教授)のお誘いを受けて、同大学芸術学部の「化学概論」の講義を受け持つことになったのだが、そのときに紹介された教科書のひとつが、本書の第3版であった。以来、いくつかの大学での授業の種本として愛用してきた。今般、株式会社エヌ・ティー・エスのご厚意により、第5版の訳書を出版することになった次第である。
 本書は、アメリカ化学会の出版物として、アメリカの学生を対象に書かれた書物である。そして、従来型の化学入門書のスタイルから大きく外れた記述形式を採用している。すなわち、現代社会の様々な課題を12件選んで全体の柱に設定し、それぞれの課題における化学の居場所を提示し、そして、そこにある化学の中身を説明する、というスタイルを取っている。
 授業をしてみると、かなりの数の学生が、高校までの勉強で元素記号や周期表の暗記に対するアレルギーに陥っていることがわかる。しかし、地球温暖化や紫外線問題など、自分自身に降りかかる諸問題については、無関心だった学生はいても、アレルギーになっている学生はまずいない。本書は、(1) 空気汚染、(2) オゾン層破壊、(3) 地球温暖化、(4) エネルギー問題、(5) 飲料水汚染、(6) 酸性雨、(7) 原子力発電、(8) 各種電池、(9) ポリマー、(10) 医薬と薬物、(11) 栄養と肥満、および (12) 遺伝子操作とクローニングという12本の柱を立てる。そして、社会および個人として見た各課題の諸側面を提示してから、それぞれの課題と化学との関わりを示し、次いで、その化学の中身を説き、最後に、社会および個人との関わりをあらためて議論する。このように、章ごとの記述が漢詩で言う「起承転結」の構成になっており、しかも「化学」は「承または転」の場所に置かれているため、「化学嫌い」の学生でもスムーズに読み進むことが出来る。
 しかも、高校までの算数・数学に習熟していない学生のために、科学的表記法や分数計算、ひいては有効数字の考え方までが記述の中に組み入れられており、巻末の付録には、電卓を使った計算も含めて、別途に解説されている。さらに、本文の途中および章末に置かれている設問では、定番の計算問題が半分以下に抑えられており、残りは、随所にウェブサイトの参照を求めながら、学生自身の意見ないし意志を問う問題になっている。
 日本の学生諸君は、大なり小なり理科離れをしていて、とりわけ化学が好きではない者が多いように見受けられる。本書は、彼らに化学の面白さと本質を理解させる上で、極めて効果的な1冊である。講師として本書を利用する場合には、授業で強調しあるいは時間をかける部分を社会との接点にするかそれとも化学そのものにするかについて、授業の目的と学生の状況に合わせて調節することができる。この点が、本書の特長であるとも言えよう。例えば、文科系の学生に対して、アボガドロ数という名称と6.022 ? 1023という数値を暗記させるより、ゼロが23個もつくような大きな数であることを記憶の隅に残させる方が大切であろう。本書は、これができる組み立てになっているのである。
 原書は、アメリカ化学会により、アメリカの学生を対象にして出版された。これを反映して、本書に記される社会問題は、主としてアメリカ社会における状況と世界との関連が取り上げられている。読者諸氏、特に講義用に本書を使われる教官各位には、日本の状況を加味しながら、すなわち、テレビや新聞のニュースおよび日本のウェブサイトを有効に参照しながら、本書を利用されることをお勧めする。それこそが、本書が持っている特長を最大に活用することになるのである。
 翻訳にあたっては、化学の専門用語と日常用語の使い分けに相当の気配りをしたつもりである。しかし、化学の専門家から見れば許し難い点が残されているかもしれない。目的と状況に合わせて、適宜読み換えながら進んでいただければ幸いである。 

 出版にあたっては、株式会社エヌ・ティー・エス 科学技術情報部 科学コミュニケーション推進室の岡田建夫室長を始めとする皆さんから全面的な協力と支援を受けた。特に、長倉奈穂子氏には、原書とのつき合わせ、生硬な訳文やなじみのない言い回し・用語の指摘など、貴重な助言を数多く頂いた。本書を読んで化学との距離感が縮まった読者がいるとすれば、その功績の一端は長倉氏を始めとする科学コミュニケーション推進室のメンバーによるのである。心から感謝の意を表する。
 
 

書籍・DVDの内容


序章 
	
 空気:分子レベルで見た日々の呼吸
1.1	日々の呼吸
1.2	何を吸い込んだと思う?:空気の組成
1.3	他には何を吸い込むか?:微量成分
1.4	リスクとその評価
1.5	大気:地球を包む空気のブランケット
1.6	物質の分類:混合物・元素・化合物
1.7	原子と分子
1.8	分子式と分子名:化学の単語集
1.9	化学変化:反応と化学方程式;燃焼と酸素
 	
1.10	火と燃料:空気の汚染と炭化水素の燃焼
1.11	大気汚染物質:一次汚染物質とその発生源
1.12	オゾン:二次汚染物質
1.13	建物の内部での大気の品質
1.14	呼吸をもう一度考える?分子レベルで見た空気
 	結び
 	章のまとめ
 	章末問題
 
	
 オゾン層:地上と影響しあう上空の世界
2.1	オゾンの正体と存在場所
2.2	原子の構造と周期性
2.3	分子とそのモデル
2.4	光という波動
2.5	放射と物質
2.6	酸素/オゾンによる紫外線の遮蔽
2.7	生物に対する紫外線の影響
2.8	成層圏オゾンの破壊:全地球的な現象
 	
2.9	クロロフルオロカーボン類:性質と用途、オゾンとの相互作用
2.10	南極のオゾンホール:詳しく見ると
2.11	地球規模の危険への対処
2.12	将来の展望
 	結び
 	章のまとめ
 	章末問題
 
	
 地球温暖化:切り離せない化学との関わり
3.1	地表にある温室:地球のエネルギー収支
3.2	証拠集め:時間からの証言
3.3	分子の形はどのように決まるか
3.4	分子内振動と温室効果
3.5	炭素の循環:自然の寄与と人間の介入
3.6	定量的な概念:質量
3.7	定量的な概念:分子とモル
3.8	メタンその他の温室効果ガス
 	
3.9	証拠集め:未来の予測
3.10	政治の動きと科学の対応
3.11	気候変動に関する京都議定書
3.12	地球温暖化とオゾン層破壊
 	結び
 	章のまとめ
 	章末問題
 
	
 エネルギー・化学・社会:持続可能な社会への道
4.1	エネルギー:仕事と熱
4.2	エネルギーの変換
4.3	燃料源から化学結合まで
4.4	分子レベルで見たエネルギー変化
4.5	反応開始のバリヤーは活性化エネルギー
4.6	エネルギーの消費
4.7	石炭
 	
4.8	石油
4.9	分子に細工してガソリンを作る
4.10	新しい燃料と代替エネルギー源
4.11	エネルギー資源の保存
 	結び
 	章のまとめ
 	章末問題
 
	
 水:安全な飲料水が持つ不思議
5.1	あなたが飲むのは水道水?それともボトル水?
5.2	飲料水が口に入るまで
5.3	溶媒としての水
5.4	水溶液中の溶質濃度
5.5	水分子の構造と物理的性質
5.6	水素結合の役割
5.7	溶媒としての水の詳細
5.8	イオン化合物の水溶液
5.9	共有化合物とその水溶液
5.10	飲料水の保護:法律による規制
5.11	公益飲料水の処理
 	
5.12	溶解物質が水質に及ぼす影響
5.12.1	水の硬度
5.12.2	飲料水の中の鉛
5.12.3	飲料水の中のトリハロメタン類
5.13	消費者としての選択:水道水、ボトル水、浄水器からの水
5.14	安全な飲料水需要の国際性
 	結び
 	章のまとめ
 	章末問題
 
	
 酸性雨:汚染物質を中和する
6.1	酸とは何か
6.2	塩基とは何か
6.3	中和:塩基は制酸剤である
6.4	pHとは何か
6.5	雨水のpH測定
6.6	酸性雨の原因探し
6.7	二酸化硫黄と石炭の燃焼
6.8	窒素酸化物とロサンゼルスの酸性化
6.9	SO2とNOx:排出の歴史と今後
 	
6.10	酸性降下物が材料に与える影響
6.11	酸性沈着物が視界と人間の健康に及ぼす影響
6.12	NOxは二重の悪者
6.13	湖沼や河川が受けるダメージ
6.14	規制の戦略
6.15	酸性雨にまつわる政治
 	結び
 	章のまとめ
 	章末問題
 
付録1 測定の単位:換算係数と各種定数
付録2 科学的表記法(指数表示)について
付録3 対数計算早わかり
付録4 練習問題解答
付録5 章末問題解答
引用した図表の出典/日本のウェブサイト
索引