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有機EL素子とその工業化最前線 | AITOP
  • 申込要領

書籍


有機EL素子とその工業化最前線

発刊日 1998年11月30日
定価 本体42,400円+税
頁数 320頁
造本 B5判 上製
ISBN ISBN4-900830-29-1
発行 (株)エヌ・ティー・エス
問い合わせ (有)アイトップ
TEL:0465-20-5467 E-mail:ktl@r4.dion.ne.jp
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監修
【監修】
 宮田 清蔵  東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科長・教授
	(執筆者全19名)
編集委員
 監修者 

 宮田 清蔵	 	東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科長教授
 執筆者一覧(執筆順) 

 筒井 哲夫	 	九州大学大学院総合理工学研究科量子プロセス理工学専攻教授
 鄒  徳春	 	九州大学大学院総合理工学研究科量子プロセス理工学専攻助教授
 城田 靖彦	 	大阪大学大学院工学研究科物質化学教授
 時任 静士	 	(株)豊田中央研究所第一特別研究室主任研究員
 田中 洋充	 	(株)豊田中央研究所材料三部
 多賀 康訓	 	(株)豊田中央研究所第一特別研究室理事
 森  竜雄	 	名古屋大学工学研究科電気工学専攻講師
 大森  裕	 	大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻助教授
 吉野 勝美	 	大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻教授
 城戸 淳二	 	山形大学大学院工学研究科生体センシング機能工学専攻助教授
 臼井 博明	 	東京農工大学工学部応用化学科助教授
 根岸 敏夫	 	日本真空技術(株)産業機器事業部成膜技術部部長
 宮田 清蔵	 	東京農工大学大学院生物システム応用科学研究科教授・科長
 桜谷 裕企	 	東京農工大学大学院生物システム応用科学研究所
 リゴベルト C.
 アドビンクラ	 	アラバマ大学化学科助教授
 佐藤 佳晴	 	三菱化学(株)横浜総合研究所光情報研究所主任研究員
 仲田  仁	 	東北パイオニア(株)開発技術本部第一開発部開発三課課長EL特許グループ
 横山 正明	 	大阪大学工学研究科教授
趣旨 【本書の特徴】
有機EL素子の基礎から応用までを解説した、研究者必携書籍。寿命・効率・色調・ファブリケーションプロセスなど改良する点を明らかにし、それらを克服可能な知見を紹介する。

発刊によせて

 

 マン・マシーンインターフェイスとしての表示素子デバイスの重要性は,今まで以上に大きくなってゆくと考えられる。この流れは大別して2種に分類される。一つは公共の場や家庭内における表示デバイスである。例えばテレビジョンに代表されるものであるが,これは大画面,高品位化への指向である。一方は今後爆発的に伸びる分野で,パーソナルユーズである。この場合はコンパクトで軽いという特徴が必要不可欠である。 
 いわゆるテレビと呼ばれているCathode Ray Tube(CRT)は高真空下で電子を蛍光物質に当てることにより発光させている。したがって大画面とするためには電子の振れ角を大きくする必要がある。この角度は磁気的に制御されるがそれにも限度があるので,大型化するためには奥行きを深くする必要がある。この場合CRTの設置面積が必然的に大きくなる。その結果CRTの全表面積が大きくなる。大気下では約1Kg/cm2の圧力がかかっているので莫大な力がこれに加わる。これに対抗するためにCRTを構成しているガラスを厚くする必要があり,その結果一人ではとても持てない重さとなる。これを支える台なども強くしなければならず,トータルとしての資源を多量に使うことになる。また電力の消費量も多くなる。
 これらの問題を解決するものとして最近プラズマディスプレイが高品化された。大画面薄型であるが作製上の問題から価格が小型自動車一台分にも相当し,普及にはコストダウンが必要である。また消費電力の低減にも問題を残している。極く最近新しい表示デバイスとしてフィールドエミッションタイプのものが発表されている。これには電子銃が用いられるがそこにカーボンナノチューブが大変有望視されている。 
 一方パーソナルユーズとしての表示デバイスには液晶ディスプレイが盛んに用いられている。これは今後も伸びると思われるが光源としては細い蛍光灯が使われている。これには偏光板や液晶素子,カラーフィルター他,その他各種のフィルムが用いられているので,光線利用効率が極めて悪いという点がある。実際ポータブルコンピューターにおいて電池の消費の大部分は表示のために消費される。 
 これらすべての問題点を解決できる可能性があるのが有機電界発光(EL)素子である。もともとEL素子に関する研究は硫化亜鉛のような半導体に交流電場を印加して発光させる方式に関するものであった。この場合発光輝度が低い,高電圧印加が必要,発光色が自由にできないなどの問題で現在あまり研究がなされていない。 
 1977年に後に詳しく述べられているようにコダクス社のTang博士らが複数の有機薄膜を重ねたいわゆる機能分離形EL素子が低い直流電圧で高い発光輝度を示すと報告して以来世界各地で研究されるようになった。 
 有機材料としては欧米においては主として導電性高分子が,日本では色素薄膜又はこれらを高分子に分散した系がよく研究されている。当初は素子寿命が短いことが大きな問題であったが新材料の開発及びパッケイジングの技術の向上により今では一万時間を越える素子が作製されている。  また最近パイオニア社では2000年よりフルカラーのELデバイスを高品化すると新聞発表を行なった。
 このように述べると有機ELの技術はもう完成しているように思えるかもしれないが,更なる寿命や効率の向上,より鮮やかな色調また真空系を使わないファブリケイションプロセスなど,改良する点はまだ多い。本書ではこのようなことを考慮して現状における有機EL素子に関する問題点を明らかにしてそれを克服可能なアイデアを満載すべく編集した。 
 この問題にたずされる研究者の一助になれば幸いである。

1998年11月  監修者 宮田 清蔵
 
 

書籍・DVDの内容

発刊によせて
 
第1編 基礎編


	
 有機自発光素子の動作機構
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 有機EL素子の動作機構の特徴
1.	有機超薄膜に多量の電流を流す機構
 	
2.	一重項励起子を経由する発光
 
第3節	 有機EL素子の発光効率
1.	発光の量子効率
2.	発光のエネルギー効率
 	
3.	発光の取出し効率
 
第4節	 正負のキャリアの注入量を決定する因子の吟味
1.	キャリア注入律速モデルとキャリア移動律速モデル
 	
2.	積層型素子の利点を再考する
 
第5節	 エネルギー効率の発光輝度依存性
 
	
 有機エレクトロルミネッセンス素子用電荷輸送材料
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 有機EL素子用アモルファス分子材料の創製
 
第3節	 アモルファス分子材料における電荷輸送
 
第4節	 アモルファス分子材料を用いる耐熱性有機EL素子の開発
 
第5節	 アモルファス分子材料を用いる耐久性有機EL素子の開発
 
第6節	 有機固相界面におけるエキシプレックスの生成とカラーチューニング
1.	Alqと正孔輸送材料とのエキシプレックス生成
 	
2.	TPOBと正孔輸送材料とのエキシプレックス生成
 
	
 低分子系発光材料
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 発光層材料
1.	色素系材料
2.	金属錯体系材料
 	
3.	新規な金属錯体系材料
 
第3節	 ドーピング材料
1.	エネルギー移動を利用する材料
 	
2.	トラッピング機構を利用する材料
 
第4節	 おわりに
 
	
 色素ドープ材料とその発光特性
 
第1節	 色素ドープ型有機発光素子について
 
第2節	 具体的な色素ドープの方法
1.	真空蒸着法による低分子量色素薄膜
2.	キャスト法
 	
3.	最適な色素ドープのために
 
第3節	 色素ドープ型素子の発光機構について
1.	キャリアトラップモデル
2.	エネルギー移動モデル
 	
3.	励起子拡散を用いた発光機構の解析
 
第4節	 これまでの色素ドープの報告例
1.	ゲスト材料
 	
2.	ホスト色素
 
第5節	 おわりに
 
	
 高分子系材料
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 高分子系EL素子の構造と動作原理
 
第3節	 高分子系発光材料とEL素子
1.	可視発光高分子
 	
2.	紫外発光高分子
 
第4節	 高分子系EL素子の機能化
1.	多色発光素子
 	
2.	導電性高分子-色素分子複合素子
 
第5節	 高分子系EL素子の今後の展望
 
 
第2編 EL技術の現状


	
 素子構造と発光色制御
 
第1節	 高効率化のための素子構造の設計
1.	発光機構
2.	低電圧駆動化
3.	高効率化
3.1.	二層型素子
3.2.	多層型素子
 	
3.3.	陽極界面層
3.4.	陰極界面層
3.5.	色素ドーピングによる高効率化
3.6.	ポリマー単層型素子における色素ドーピングの効果
 
第2節	 素子の多色化技術
1.	積層構造による発光色の制御
2.	発光層積層型白色素子
 	
3.	色素ドーピングによる発光色の制御
3.1.	色素分散白色ポリマー素子
 
第3節	 マルチカラー化技術
1.	マルチカラー化法
2.	ポリマーを用いた並置型RGBディスプレイの可能性
2.1.	インクジェット法
 	
2.2.	フォトポリマー法
2.3.	フォトブリーチング法
 
	
 電極材料
 
第1節	 はじめに
1.	注入型有機EL
2.	歴史的流れ
 	
3.	有機ELへの注入電極
 
第2節	 陽極材料
1.	ITO
2.	ITO表面処理
2.1.	ウェットプロセスによる表面処理
2.2.	ドライブロセスによる表面処理
3.	その他の陽極材料
3.1.	ITO以外の陽極材料
3.2.	シリコン上の素子
 	
3.3.	表面発光型素子
4.	陽極バッファ層
4.1.	フェニルアミン系ホール注入層
4.2.	フタロシアニン・バッファ層
4.3.	酸化物バッファ層
4.4.	低分子系ELで用いられるその他の陽極バッファ
4.5.	高分子系ELで用いられる陽極バッファ
 
第3節	 陰極材料
1.	Mg合金
2.	その他の電子注入電極
2.1.	アルミニウム合金
2.2.	金属カルシウム
2.3.	その他
3.	成膜法の影響
3.1.	真空蒸着による成膜過程
3.2.	イオンを用いた蒸着法
4.	電極の劣化
4.1.	ダークスポットの発生
 	
4.2.	高分子系ELの劣化
4.3.	素子の封止
5.	バッファ層
5.1.	金属バッファ層
5.2.	アルカリ金属化合物
5.3.	アルカリ土類金属化合物
5.4.	酸化物バッファ層
5.5.	その他の材料
5.6.	高分子系素子へのバッファ層
 
第4節	 有機・金属接合
1.	電流注入特性
1.1.	有機薄膜の電流輸送プロセス
1.2.	電流注入過程
2.	接合特性の評価
 	
3.	接合の界面状態
3.1.	バンドモデルの間遠点
3.2.	低分子-金属接合の界面状態
3.3.	高分子-金属接合の界面状態
 
第5節	 おわりに
1.	電極材料とバッファ層の進歩
2.	注入モデルとバンド理論
 	
3.	有機-金属の界面現象
4.	界面形成・薄膜形成技術
 
	
 ドライブロセスによる素子作製法
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 有機EL素子作製技術
 
第3節	 ドライプロセス技術
1.	基板およびITO薄膜
2.	基板前処理技術
3.	有機薄膜形成技術
 	
4.	金属電極形成技術
5.	保護膜の形成技術
 
第4節	 おわりに
 
	
 高分子系有機EL素子と湿式作製技術における現状
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 なぜに高分子化が望まれているのか
 
第3節	 材料開発の現状
1.	共役系高分子材料
 	
2.	非共役系高分子材料
 
第4節	 素子開発の現状
1.	素子構造の分類
2.	高輝度・高効率・長寿命化はどの程度まで進んでいるのか
 	
3.	偏光発光素子
 
第5節	 新しい素子作製技術
1.	フルカラー化技術
2.	インクジェットプリンティング
 	
3.	オールウェットプロセスによる有機EL素子の作製
 
第6節	 おわりに
 
	
 自己組織化ポリマー超薄膜の発光ダイオードへの応用
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 分子・超分子自己組織化法
 
第3節	 高分子材料
 
第4節	 ポリマー発光ダイオード構造
1.	金属-ポリマー界面
1.1.	基板表面上の自己組織化膜
1.2.	高分子陽極
2.	有機LEDの破壊モード
3.	有機層のフォトリソグラフとパターン形成
 	
4.	フレキシブルなポリマー基板
5.	偏光発光LED
6.	有機-無機ヘテロ接合
7.	単層素子と多層素子
8.	ポリイオンによる有機金属錯体
 
第5節	 ポリアニン誘導体のポリマー自己組織化
 
 
第3編 展望と課題


	
 実用化への課題(素子寿命設計とその要因分析)
 
第1節	 はじめに
1.	実用化への道
2.	研究課題と現状
 	
3.	材料-素子-パネル
 
第2節	 素子の安定性
1.	はじめに
2.	劣化機構
2.1.	熱的な劣化
2.2.	電気化学的劣化
3.	長寿命化の検討
 	
3.1.	正孔輸送層
3.2.	陽極バッファ層
3.3.	ドーピング
3.4.	まとめ
 
第3節	 課題
1.	色素材料の開発
1.1.	正孔輸送材料
1.2.	発光材料
1.3.	電子輸送材料
2.	素子構造の検討
2.1.	陰極界面層
 	
2.2.	正孔阻止層
2.3.	白色発光
3.	パネル化技術
3.1.	駆動方式:単純vs.アクティブマトリクス
3.2.	フルカラー化の方式
3.3.	温度特性
 
第4節	 おわりに
 
	
 新しい表示システムとその応用
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 ドットマトリクスディスプレイ
1.	陰極のパターニング技術
2.	封止技術
 	
3.	コントラストの改善
4.	駆動技術
 
第3節	 おわりに
 
	
 最近の特許動向
 
第1節	 特許からみる研究開発の流れ
1.	有機自発光素子の基本特許
 	
2.	主要企業の特許出願
 
第2節	 有機自発光素子の性能と安定性
1.	特許からみた企業間比較
2.	主要7社の特許出願
2.1.	出光興産
2.2.	三菱化学
2.3.	東洋インキ
 	
2.4.	パイオニア
2.5.	ティーディーケー(TDK)
2.6.	日本電気
2.7.	コダック(KODAK)
 
第3節	 有機自発光素子の製法特許
1.	レーザービーム
2.	フォトリソグラフィ
 	
3.	製造装置
 
第4節	 有機自発光素子特許のワンポイント・アドバイス
1.	有機自発光素子特許の検索
2.	有機自発光素子特許の取り方
2.1.	技術分野
 	
2.2.	発明の構成と効果
2.3.	補正の制限と国内優先
3.	特許権の行使
 
	
 展望―非表示素子を含む多角的応用を目指す戦略
 
第1節	 はじめに
 
第2節	 新しい応用展開への戦略的視点
1.	光源としての応用展開
2.	薄膜端面からの発光
 	
3.	コヒーレント発光素子への展開
 
第3節	 機能デバイスへの展開
1.	波長変換・光増幅素子
1.1.	光-光変換素子の構造と動作
1.2.	長波長から短波長への波長変換
1.3.	光増幅
 	
1.4.	光電流増倍現象
1.5.	光変換デバイスにおける新機能
2.	光演算デバイス
 
第4節	 おわりに
 
索引