発刊日 | 2009年9月 |
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定価 | 本体47,000円+税 |
頁数 | 297頁 |
造本 | B5 |
発行所 | 技術教育出版社 |
発行 | (株)エヌ・ティー・エス |
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監修 |
【監 修】 直井 勝彦 東京農工大学 西野 敦 西野技術士事務所 【執筆者】 計23名 |
編集委員 |
【監 修】 直井勝彦 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 教授 西野 敦 西野技術士事務所 【執筆者一覧】 (執筆順) 直井勝彦 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 教授 前野徹郎 クラレケミカル(株)商品開発室室長補佐 猪飼慶三 新日本石油(株)新エネルギー事業本部 エネルギーシステム開発部 蓄電材料生産技術グループ マネジャー 竹下 究 新日本石油(株) 新エネルギー事業本部 エネルギーシステム開発部 蓄電材料開発グループ シニアスタッフ 宇恵 誠 三菱化学(株) イノベーションセンター フェロー 千葉一美 日本カーリット(株)R&Dセンター 研究員 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 直井研究室 リサーチフェロー 高木祥子 東京農工大学大学院共生科学技術研究院 本間 格 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 ナノエネルギー材料グループ 研究グループ長 羽鳥浩章 (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 エネルギー貯蔵材料グループ 研究グループ長 石川正司 関西大学化学生命工学部化学・物質工学科 教授 本田裕一 関西大学化学生命工学部化学・物質工学科 リサーチアシスタント 白石壮志 群馬大学大学院工学研究科応用化学・生物化学専攻 准教授 成瀬新二 デュポン帝人アドバンストペーパー(株) 技術生産部 シニアリサーチエンジニア 丸茂千郷 JMエナジー(株) 執行役員 開発担当 王 宏宇 佐賀大学先端研究教育施設 朴 金載 佐賀大学先端研究教育施設 Arjun Tappa 佐賀大学先端研究教育施設 鄒 美 佐賀大学先端研究教育施設 芳尾眞幸 佐賀大学先端研究教育施設 名誉教授 吉野 彰 旭化成(株)理事 旭化成グループフェロー 吉野研究室室長 吉武 優 旭硝子(株)中央研究所 統括主幹・特任研究員 宮坂 力 桐蔭横浜大学大学院工学研究科 教授 ペクセル・テクノロジーズ(株) 手島健次郎 ペクセル・テクノロジーズ(株) 天野 浩 名城大学理工学部 教授 島本秀樹 パナソニック エレクトロニックデバイス(株) 開発技術センター デバイス技術開発研究所 主幹技師 松井啓真 (株)指月電機製作所 第二事業本部 品質保証部長 安藤保雄 (株)明電舎 コンポーネント事業部 キャパシタ事業開発部長 野津龍太郎 日清紡(株) 新規事業開発本部 キャパシタ事業部 伊藤 勝 ルビコン(株) 基礎開発部長 西野 敦 西野技術士事務所 |
趣旨 |
【本書の特徴】 ★次世代キャパシタの材料と構成の開発動向を詳解 ★電気二重層キャパシタ導入による二次電池の活かし方から最新の応用展開を網羅 |
発刊にあたって
はじめに エネルギーについて論ずるにあたって、われわれの身体ののしくみに目を転じて考えてみたい。われわれの身体は、生物活動を行い生命を維持するために長い年月をかけて効率的なエネルギーシステムを作り上げてきたが、その高度さには目を見張るものがある。体内のエネルギー生産と供給には、ATP(アデノ三燐酸)といういわばエネルギー貨幣が使われているが、そのATP生成には有酸素反応と無酸素反応の2つの方法がある。 持続的で大きなエネルギーを必要とする運動(有酸素運動)には、呼吸により取り入れられた酸素を使った有酸素反応によりエネルギーが生成される。この反応では1つのブドウ糖から38個ものATPが作られるが、その速度は遅く瞬発力やパワーを必要とする運動には対応できない。瞬発力やパワーを必要とする運動(無酸素運動)時には、無酸素反応により筋肉にあるブドウ糖を使って即座にエネルギーが生成される。瞬時に大量のエネルギーを供給できるが1つのブドウ糖からは2つのATPしか生成できないので、すぐに供給できなくなる。人間はこの両者をうまく使い分けながら、あらゆる動作に対応したスムースなエネルギー供給を可能としている。 次世代高容量キャパシタは、高出力、高サイクル性、高安全性、良好な温度特性など、多くの利点を有しており、その特性は同じ蓄電デバイスであるリチウムイオン電池と全く好対照な位置にある。この好対照な2つの蓄電デバイス(電池とキャパシタ)は、実は人間の体内のエネルギー供給システム(有酸素反応と無酸素反応)に対応しているといえる。電池とキャパシタの両者を組合せて用いるシナジー効果は極めて高い。2つの好対照なエネルギーデバイスを絶妙に組合せることにより、あらゆるエネルギーマネージメントが可能となる。 本書が紹介する電池とキャパシタの補完に関する実用例は益々増えつつあり諸分野に波及している。また、電池だけではなく、燃料電池やインバーターとキャパシタを組合せることによる絶妙なエネルギーシステムも注目を集めている。できるだけ化石燃料に頼らない、できるだけCO2 などの温室効果ガスを排出しない実効性のある環境に優しいエネルギー対策を考えるとき、このような複合的エネルギー貯蔵システムの発展は、日本にとって大きな戦略となると思われる。 2009年8月 直 井 勝 彦 ・ 西 野 敦
書籍・DVDの内容
第1編 次世代キャパシタの展望(材料と構成) 次世代キャパシタの展望(材料と構成) 1. はじめに 2. キャパシタの用途拡大 3. キャパシタと電池 4. 電気二重層キャパシタの構成,電荷貯蔵原理 5. 大容量新規キャパシタ材料 5-1. ナノカーボン材料 5-2. 金属酸化物電極材料 5-3. 導電性ポリマー材料 6. 高電圧化によるエネルギー密度の向上 6-1. 新しい電解液 6-2. イオン性液体電解質 6-3. ハイブリッドキャパシタ 7. おわりに 活性炭-クラレケミカルにおける取り組み 1. はじめに 2. EDLC電極用活性炭の製法と高性能化へのポイント 2-1. 原料について 2-2. 前処理技術について 2-3. 賦活技術について 2-4. 精製技術について 2-5. 粉砕技術について 3. 主な製品の概要、性能 3-1. YPについて 3-2. RPについて 3-3. NKについて 3-4. NYについて 3-5. 活性炭繊維 「クラクティブCHについて」 4. おわりに 石油コークスを原料とした活性炭 1. はじめに 2. 新日本石油のニードルコークス 3. 石油コークスを原料としたEDLC用活性炭 3-1. 原料炭 3-2. 炭化 3-3. 賦活 3-4. 洗浄 4. 製品の概要,特長 5. おわりに キャパシタ用電解質開発の現状と展望 1. はじめに 2. 電解質の分類と性能 2-1. 電気伝導率が高い 2-2. 電位窓が広い 2-3. 電極容量が高い 2-4. 使用可能温度範囲が広い 2-5. 安全性が高い 3. 水系電解液 4. 非水系電解液 4-1. 有機溶媒 4-2. 溶質 4-3. 第四級塩系電解液 4-4. リチウム塩系電解液 5. イオン液体 6. おわりに スピロ型第四級アンモニウム電解質の特性 1. はじめに 2. 電解液に求められる特性 2-1. 電解質の構造と電解液電導度の関係 2-2. 電解質の溶媒への溶解性と電解液粘性率の関係 2-3. 電解質および溶媒の種類と電気化学的安定性の関係 2-4. 実用化された電解質の種類 3. 各環状型電解質の特性 3-1. 電解質種と電導度の関係 3-2. 電解質種と粘性率の関係 3-3. 電解質種と電気二重層キャパシタ特性の関係 4. スピロ型第四級アンモニウム塩(SBP-BF4) 5. すでに実用化されていた電解質との特性比較 5-1. 電導度-電解質濃度 5-2. 粘性率-温度 5-3. 内部抵抗-温度 5-4. レート特性 6. 溶媒種の効果 7. まとめ ナノドットルテニウム酸化物系 1. はじめに 2. 酸化ルテニウム 2-1. 酸化ルテニウムの利用率と粒子サイズ 2-2. 容量と利用率 3. 著者らの研究 3-1. 電気泳動析出(electrophoretic deposition:EPD)法 3-2. ヒュームドシリカを使用した新規湿式法 3-3. 内包型RuOX/KBナノコンポジット 4. おわりに ナノクリスタル・ディメンションコントロール 1. はじめに 2. ナノクリスタル活物質の合成と高速充放電特性 2-1. ナノコーティング型カーボン電極 2-2. メソポーラス型電極 2-3. ナノ結晶型電極 3. まとめ 単層カーボンナノチューブ(SWCNT) 1. SWCNT電極への期待と製造技術の現状 2. SWCNT電極のキャパシタ特性 3. SWCNT電極の蓄電メカニズム 多層カーボンナノチューブ(MWCNT) 1. はじめに 2. CNTを直接電極に用いた例 3. CVD法による配向MWCNTの作製 4. 電極化を考慮したCVD法 5. 転写法による高配向MWCNT電極 6. 配向性MWCNT電極を用いたキャパシタ特性 6-1. ナイキストプロット 6-2. 周波数依存容量 6-3. 定電流放電試験 6-4. エネルギー密度と出力密度の相関 6-5. 種々の長さの配向性MWCNTの放電容量 7. 配向性MWCNT電極の今後 フラーレン関連炭素材料と活性炭ナノ繊維 1. はじめに 2. フラーレンスート 3. 活性炭ナノ繊維 4. おわりに アラミドセパレータ,アラミドバインダー 1. アラミドセパレータ 1-1. はじめに 1-2. アラミドセパレータの特徴 1-2-1. アラミド 1-2-2. アラミドセパレータ 1-3. 電気二重層キャパシタ 1-3-1. 電気二重層キャパシタ 1-3-2. キャパシタの構造 1-3-3. キャパシタの特性 1-4. アラミドセパレータの電気二重層キャパシタへの応用例 1-4-1. 活性炭吸着水 1-4-2. 電極ユニットの乾燥 1-4-3. 耐電圧の評価 1-5. まとめ 2. アラミドバインダー 2-1. はじめに 2-2. アラミドバインダーの特徴 2-3. アラミドバインダーの電気二重層キャパシタへの応用例 2-3-1. 加熱処理 2-3-2. キャパシタの特性 2-4. まとめ リチウムイオンキャパシタ 1. リチウムイオンキャパシタの原理と構成 2. リチウムイオンキャパシタの特性 3. リチウムイオンキャパシタの安全性 4. リチウムイオンキャパシタの可能性 黒鉛系高電圧キャパシタ 1. はじめに 2. 従来型および新型キャパシタの充放電曲線とエネルギー密度,電解液の分解 3. 新型キャパシタの充放電メカニズム 4. 黒鉛/活性炭キャパシタの高電圧化に伴う電解液分解の抑制 5. 鉛電池代替としての黒鉛正極高電圧ハイブリッドキャパシタ 6. 最後に 第2編 キャパシタとバッテリーの共存によるメリットと可能性 二次電池とEDLC 1. はじめに 2. 蓄電デバイスの分類と市場構図 2-1. エネルギーデバイスと蓄電デバイスの定義 2-2. 蓄電デバイスの定義と市場の構図 3. EDLCと二次電池の共存 3-1. 蓄電デバイスの市場構図の分析 3-2. EDLCと二次電池の共存によるメリット,可能性,課題 3-2-1. EDLCの出力特性と二次電池の共存によるメリット,可能性,課題 3-2-2. EDLCの耐久性と二次電池の共存によるメリット,可能性,課題 4. おわりに 燃料電池とEDLC 1. はじめに 2. 燃料電池 3. EDLCを含む燃料電池システムの開発例と課題 3-1. 燃料電池車へのEDLCの適用と課題 3-2. 分散型電源への燃料電池とEDLCの適用 3-3. 携帯機器用電源への燃料電池とEDLCの適用 4. 今後の課題と展望 光蓄電機能を持つ太陽電池“光キャパシタ” 1. 光発電と蓄電 2. 色素増感太陽電池の特徴 3. 光キャパシタの原理 4. 光キャパシタの充放電特性と高容量化 5. おわりに LEDとEDLC 1. はじめに 2. LEDを構成する化合物半導体材料,基本構造および動作電圧 3. まとめに代えて-LEDの課題と解決のための取り組み 第3編 キャパシタ応用展開の最新動向 自動車用キャパシタの開発 1. はじめに 2. 電気二重層キャパシタの自動車への応用 3. 電気二重層キャパシタに求められる特性 4. 低抵抗技術開発 4-1. 電気二重層キャパシタセルの構成 4-2. セル構造検討による低抵抗化 4-3. 活性炭材料 4-4. 電解液 4-5. 開発技術の製品適用 5. おわりに キャパシタの瞬時電圧低下補償装置への応用 1. はじめに 2. 瞬低補償装置用電気二重層キャパシタの概要 2-1. 瞬低補償装置について 2-2. 瞬低補償装置用として求められるEDLCの性能 3. 今後の課題と展開について キャパシタの動力回生,バックアップ電源への応用 1. 開発及び製品化の経緯 2. キャパシタの概要 3. 動力回生への応用―直流電気鉄道応用 3-1. 適用の概要 3-2. 直流電気鉄道システムと回生電力 3-3. 電気鉄道の電力貯蔵装置 3-4. 直流電鉄用電力貯蔵装置(キャパポスト)の具体例 3-4-1. キャパポストの仕様 (1)キャパシタ (2)昇圧放電,降圧充電用チョッパ (3)抵抗器 4. バックアップ電源への応用―緊急遮断弁 4-1. 緊急遮断弁へのキャパシタの適用 4-1-1. バネ式緊急遮断弁 4-1-2. バッテリー式 4-1-3. 高圧エアー式 4-2. キャパシタ 4-2-1. 適用キャパシタ 4-2-2. キャパシタの温度特性 4-2-3. キャパシタの出力特性 4-3. キャパシタを適用した緊急遮断弁 4-3-1. アクチュエータの制御方法 4-3-2. 緊急遮断弁の特長 5. おわりに 電気二重層キャパシタの産業応用(搬送車,電力貯蔵への応用) 1. 搬送車等に向けた高出力キャパシタ開発とその応用 1-1. 電気二重層キャパシタ「N's CAP」について 1-2. 産業用搬送機器への電気二重層キャパシタの応用 1-3. 大型搬送機用高出力キャパシタの開発 1-4. 大型キャパシタモジュール開発および大型搬送機への応用の実際 2. 自然エネルギーの電力貯蔵に向けたキャパシタ開発とその応用 2-1. エネルギー問題の現状と自然エネルギーの電力貯蔵への期待 2-2. 電力貯蔵向けキャパシタ開発 2-3. NEDO技術開発機構 系統連系円滑化蓄電システム技術開発プロジェクトにおける取り組み ルビコン社における電気二重層キャパシタの応用展開 1. ルビコン社における電気二重層キャパシタの開発状況 1-1. ルビコン社の概要 1-2. 電気二重層キャパシタの開発の歴史 2. ルビコン社におけるEDLC及び関連製品群 2-1. EDLC単体 2-2. キャパシタモジュール 2-3. EDLC応用商品 2-3-1. レーザーポインター(LP) 2-3-2. 直流保持電源 DCH20,DCH150 3. EDLCの応用事例 3-1. メモリーバックアップ用途 3-1-1. 携帯機器関連 3-1-2. プリンター関連 3-1-3. プロジェクター関連 3-1-4. 監視カメラ 3-1-5. 電車用監視カメラ 3-1-6. その他の用途 3-2. LED照明関連 3-2-1. 道路鋲 3-2-2. サインマーカー 3-2-3. LED照明 3-2-4. 非常灯 3-3. 産業機器用途 3-3-1. 電気駆動自動弁の開閉動力用 3-3-2. FA機器の停電時電圧保持用 3-3-3. 瞬低補償装置 3-3-4. 回生エネルギー利用用途 3-3-5. 工場搬送機電力供給 3-4. 車載用途 3-4-1. ドライブレコーダー 3-4-2. ブレーキバックアップ電源 3-4-3. アイドリングストップ対策 3-4-4. エンジンスターター 3-4-5. 車戴その他 3-5. 新エネルギー用途 3-5-1. 太陽光発電用途 3-5-2. 燃料電池用途 3-5-3. 風力発電用途 (1)小型風力発電 (2)大型風力発電 3-6. 将来的な電気二重層の応用展開 第4編 電気二重層キャパシタ(EDLC)の開発の歴史と最新の業界動向 1. 概要 1-1. 電気二重層キャパシタ(EDLC)の発明と実用化の歴史 1-2. 電気二重層キャパシタの種類と製品化の歴史 1-3. EDLCの各サイズ別,応用機器,活性炭材料の歴史 1-4. コイン型EDLCの仕様と用途の経年変化 2. EDLCの世界の動向と生産活動 2-1. EDLCの概要 2-2. 世界の主なEDLC生産会社と関連会社 2-3. EDLCの生産活動の概要 3. EDLCが有ってこそ生きる電池 3-1. はじめに(EDLCの電池との相違) 3-2. 資源の高騰と電池価格の相対価値 3-3. 電池とEDLCの位置づけ 3-4. EDLC応用の代表的な基本電気回路 3-4-1. バックアップ電源 3-4-2. 小型電池との併用電源 3-4-3. 急速充電可能な簡易電源 3-4-4. 太陽電池との併用電源 3-5. EDLCが有ってこそ生きる電池応用例 3-5-1. ソーラーラジオ 3-5-2. 婦人生理体温計 3-5-3. 沸騰ジャーポット 3-5-4. ガス安全電磁ホルダー 3-5-5. ガス無人自動検針システム 4. EDLCの最近の応用展開 4-1. 概要(回生制動応用と産業用応用) 4-2. EDLCの自動車への応用展開 4-3. HEVの種類 4-4. 業務用複写機へのEDLCの採用例 4-5. 半導体製造用電磁バルブへのEDLCの採用例 4-6. フォークリフトへのEDLCの採用例 5. まとめ