Warning: Unexpected character in input: '\' (ASCII=92) state=1 in /home/hansen/www/aitop/seminar/wp-includes/Requests/Hooks.php on line 70
食品と栄養サプリメント ~健康と疾患時におけるその役割~ | AITOP
  • 申込要領

書籍


食品と栄養サプリメント ~健康と疾患時におけるその役割~

発刊日 2003年9月1日
定価 本体27,400円+税
頁数 252頁
造本 B5判 並製
ISBN ISBN 4-86043-030-1 C3047
発行 (株)エヌ・ティー・エス
問い合わせ (有)アイトップ
TEL:0465-20-5467 E-mail:ktl@r4.dion.ne.jp
フォームでのお問い合わせはこちら
監修
【著者】
 J.K.Ransley・J.K.Donnelly・N.W.Read 編著
【監訳】
 茂呂沢朋子 
編集委員
 著者名
 J.K.Ransley ・ J.K.Donnelly ・ N.W.Read
 監訳
 茂呂沢朋子
趣旨
【本書の特徴】

栄養サプリメントについて科学的根拠に基づいた効果、可能性のあるリスクについて詳述した専門書。

第1部	:サプリメント市場の飛躍的な成長の概説、疾患や年齢による栄養素の必要量、プラシーボとしての効果など、保健専門家に必要な一般知識を解説。

第2部	:病気の原因論、予防、治療におけるサプリメント(ビタミンB6・葉酸・抗酸化物質・植物性エストロゲン・プレバイオティクス・プロバイオティクス)の科学的役割について詳述。

第3部	:冠動脈性心疾患およびリウマチ性関節炎を例に挙げ、栄養素や食品成分が病気の予防と治療に果たす役割の評価。

序文

 

本書の内容


概算ではあるが,英国人の40%が栄養サプリメントを摂っている。この統計数値は近年劇的に上昇しており,今後5年間にさらに増加すると予測されている。西欧全体でも,サプリメント市場は成長を続けている。消費者は自らの健康に責任をもつように奨励されているうえ,薬の流通販売に関する規制が変わったことも相まって,自己治療を取り入れつつある。本書の目的は,生物学的および心理学的観点から栄養サプリメントによる自己治療現象を検証することである。はじめに,サプリメントの種類・範囲と市場について論じた。保健専門家が栄養補助食品や栄養サプリメントが有効か否かについて知る必要があること,また,人生の各段階において特定栄養素の必要性がどのように変化するかについても検討した。テーマは,食事および健康や疾患時におけるサプリメントの使用をめぐる議論を説明する目的で選ばれ,ビタミンB6,葉酸,植物性エストロゲン,そしてプレバイオティクス・プロバイオティクスに関する章では,栄養補助の科学的根拠および健康や疾患時における有効性を検証した。有効な治癒や不健康の予防は,製品の生物学的作用にのみ依存しているわけではなく,消費者がどれだけ製品に信頼を寄せているかにもよる。本書は特定サプリメントヘの信用が,生活状況への健全な反応を維持するための精神生物学的機序をどのように調整しうるか,そして精神調整物質を生物学的活性物質として販売することの道徳的ジレンマを検証した。本書は薬剤師,食事療法士,栄養士,看護師,精神科医,食品と医薬品産業従事者,そしてと健康に関心があるすべての人々に興味深いものとなるであろう。

はじめに


私たちは栄養士として,正しい食生活をすることは健康な生活を送ることであるという観念をもっている。正しい食生活は,肉体的に健康な人生だけでなく,社会的,精神的にバランスの取れた人生のよい出発点となる。この観点からすると,この10年間に栄養補助食品や栄養サプリメントの消費が増え続けていることは懸念すべき硯象である。なぜなら,それは人々が健康や快適に暮らすことに対して不安を感じていることを示しているからである。薬局,ドラッグストア,健康食品店,スーパーマーケットでは,ビタミン,ミネラル,植物や魚由来の油,強壮剤,および薬草製品を含む広範な製剤が売られ,通信販売やインターネット販売などでも容易に入手可能となっている。 

これほど多くの人々がこのような製品を摂る必要性を感じているのはなぜか。その人々には摂取にまつわるどのようなガイダンスが与えられているのか。製品は安全か。人々の気持ちにある程度の違いは生じるのか。重篤な疾患を予防する効果はあるのか。サプリメント摂取は本当に必要なのか。それとも健全な食事が最適な健康や疾患予防に必要なすべての栄養素を供給してくれるのか――。

 ほとんどの人は栄養サプリメントに関する情報を一般雑誌や新聞の記事から得ているが,疾患の予防と治療に対する製剤の有効性や安全性についての鋭い質問に答えるのは家庭医,看護師,薬剤師などの保健専門家である。彼らは資格を有する保健専門家であるが,ヒトの疾患の原因論,予防,および治療における栄養素の複雑な役割に関する最新研究に後れをとらないように苦労している。特に薬剤師は重要な役割をもっている。なぜなら,昔の薬屋(英国では医療も行っていた)同様,患者に助言を与えることと栄養補助食品や栄養サプリメントを売るという二つの役割をもっているからである。今も薬局は,サプリメントが売られている小売店の中でも最も人気が高い。薬剤師の存在は,製薬製品に付加価値を与え,消費者が薬局で製品を信用して買えるようにしている。このことは市場調査で繰り返し示されてきた。また,家庭医は患者と十分に話し合う必要がある。患者の多くは特定の状態―リウマチ性関節炎,月経前緊張,または疲労感や倦怠感というような漠然とした不快感など―のためにサプリメントを摂らねばという強固な信念をもっているからである。 

 サプリメントの人気が急上昇し,相反する報告などが記事の見出しを飾り続ける中,すべての保険専門家がその有効性と安全性について,バランスの取れた意見を求められている。したがって,専門家はできる限り多くの情報を知っておく必要があり,本書の目的はまさにそこにある。各章の著者は,人体における栄養素の複雑な役割を支持する科学研究に積極的に従事ており,栄養補助食品と栄養サプリメントがヒトの健康に果たす役割を評価することに関連する主要テーマを取り上げている。 

 本書はおもに三つの部分から構成されている。第一部は導入部分として,近年の栄養補助食品と栄養サプリメント市場の飛躍的な成長について概説し,ライフサイクルの各段階によって,また疾患経過や外傷時によって,なぜ身体が必要とする栄養素が変わるのかなどを説明している。ある章では,栄養分野における保健専門家の知識基盤を拡大させる必要性を論じた。他の章では,生物学的作用はさほどないものの,苦しみを軽減してくれるものという信念を満足させてくれる,サプリメントによる自己治療をなぜ患者が必要としているのかについて解明し,良質な栄養サプリメントのプラシーボとしての役割を検証している。第二部では,疾患の原因論,予防,および治療における主要栄養素や食品成分の役割の科学的根拠を検証した。ここではビタミンB6,葉酸,抗酸化物質,植物性エストロゲン,プレバイオティクス,およびプロバイオティクスが詳細に述べられている。第三部では,栄養素や食品成分が予防と治療に寄与しうる,一般的な疾患である冠動脈性心疾患とリウマチ性関節炎を例示することにより評価している(この二疾患は,健康についての患者の不安や心配の上位を占めている)。各著者は,栄養補助食品と栄養サプリメントに関する栄養学的側面の最新情報を包括的かつ簡潔に述べている。私たちの目標は,サプリメントによる自己治療現象についての解明と,消費者が市販保健製品の有効性に多くの時間やお金を費やし,信頼を寄せる理由についての洞察を読者に与えることである。本書が,事実に基づいてサプリメントにる謎を取り除き,読者が健康的な食事やサプリメント使用に関する判断の際の根拠となる,納得のいく見解を与えることになれば幸いである。

2000年8月  Joan K.Ransley
Judith K.Donnelly
Nicholas W.Read

謝辞


本書各章の執筆,ならびにリーズのトリニティ・アンド・オール・セインツ・カレッジにて1999年に開催された薬剤師のための栄養学(Nutrition for Phamacists)会議の成功に貢献してくれた栄養学界の同僚たちに感謝する。また,その会議の結果として本書を出版するよう促してくれたスプリンガー・ヴェルラグ(Springer-Verlag)社の熱意にも感謝する。特に,会議の基礎となった研究を実施したMathew Joynson,そして本書の準備を手伝ってくれたSonja PosとSylvia Simpsonに感謝の意を表す。

告知


非常に残念なことであるが,発刊前に本書著者の一人であるAnthony Diplock教授が永眠されたことを報告しなければならない。彼の章「第5章・抗酸化物質と栄養と健康」は,彼の遊離基および健康における抗酸化物質の役割に関する画期的な研究にふさわしい追悼碑となった。

 

書籍・DVDの内容

	


出版にあたって
監訳者プロフィール
序文
著者紹介

	
 食品・栄養サプリメントの台頭―市場の概要
1.1.	はじめに
1.2.	多様な商品
1.3.	サプリメントとして何が摂取されているか
1.3.1.	肝油
1.3.2.	総合ビタミン剤
1.3.3.	単一ビタミン剤
1.3.4.	月見草オイル
1.3.5.	ミネラル剤
1.3.6.	ニンニク製品
1.3.7.	機能食品
1.4.	西欧における成長
1.5.	ビタミン剤,ミネラル剤および
栄養補助食品のメーカー
1.6.	ビタミン剤,ミネラル剤および
栄養補助食品の小売り流通
 	
1.7.	この市場の成長を後押ししている力
1.7.1.	加齢とライフスタイルの変化が市場を動かす
1.7.2.	自己治療への傾向
1.7.2.1.	病気に対する心配が需要を喚起する
1.7.2.2.	薬局の変化
1.7.2.3.	プライマリー・ヘルスケアの変化
1.8.	サプリメントの利用者は,本当にサプリメントが必要なのか
1.9.	市場規制
1.10.	ビタミン剤,ミネラル剤および
栄養補助食品の展望
1.11.	結論
1.12.	参考文献
 
	
 保健専門家はなぜ,栄養についてさらに詳しく知る必要があるのか
2.1.	はじめに
2.1.1.	食事が病気に及ぼす影響
2.2.	私たちの知識欲
2.3.	保健専門家―信頼のおける栄養情報源となりうるか
2.4.	栄養学―孤立した専門分野
2.5.	栄養について助言するうえでの障害
 	
2.6.	保健専門家の最新の役割―新たな取り組み
2.6.1.	一人ひとりのニーズに合わせた食事の助言
2.6.2.	人によって異なる食事のニーズ
2.6.3.	医薬品と栄養素の相互作用
2.6.4.	保健経済学における食事の影響
2.7.	結論
2.8.	参考文献
 
	
 健康なときと疾患時における栄養素の所要量
3.1.	はじめに
3.2.	どの栄養素がどれだけ必要か
3.3.	1日標準栄養価
3.4.	目標の達成
3.5.	妊娠と授乳―栄養の生涯を通じた健康への影響
3.6.	離乳のプロセス
3.7.	幼児期
 	
3.8.	低学年学童期
3.9.	青年期
3.10.	成人期
3.11.	老年期
3.12.	結論
3.13.	参考文献
 
	
 プラシーボと万能薬―栄養サプリメントの治癒効果
4.1.	非常に多くの人々が不調を感じる理由
4.2.	プラシーボまたは治癒効果
4.3.	プラシーボ治療に反応する人
4.4.	プラシーボとしての栄養サプリメント
 	
4.5.	プラシーボを栄養サプリメントとして処方,販売することの倫理
4.6.	参考文献
 
	
 抗酸化物質と栄養と健康
5.1.	はじめに
5.2.	変性疾患における遊離基のかかわりと抗酸化物質による調節
5.3.	がんの原因論
5.4.	心血管疾患の原因論
 	
5.5.	抗酸化栄養素による病気の危険性の低下
5.6.	がん
5.7.	心血管疾患
5.8.	参考文献
 
	
 ビタミンB6の栄養的利用と非栄養的利用
6.1.	はじめに
6.2.	ビタミンB6の代謝と代謝機能
6.3.	必要量と基準栄養素所要量
6.4.	高レベル摂取の潜在的効能
―ホモシステイン代謝
6.5.	ビタミンB6の薬理学的利用
6.5.1.	経口避妊薬の副作用
6.5.2.	耐糖能低下と糖尿病
 	
6.5.3.	うつ病
6.5.4.	月経前症候群
6.5.5.	つわり
6.5.6.	手根管症候群
6.5.7.	高血圧
6.6.	ビタミンB6との薬物相互作用
6.7.	ビタミンB6の毒性
6.8.	参考文献
 
	
 葉酸と病気の予防―解明までの長い道のり
7.1.	はじめに
7.2.	葉酸塩による神経管欠損症予防
7.3.	他の先天性異常と葉酸塩
7.4.	葉酸塩,ホモシステインと閉塞性血管疾患
7.5.	葉酸塩所要量とその供給方法
 	
7.6.	食生活の変化
7.7.	サプリメント
7.8.	食品の栄養強化
7.9.	結論
7.10.	参考文献
 
	
 食品への微量栄養素の添加
8.1.	はじめに
8.2.	歴史的背景
8.3.	用語の定義
8.4.	食品に栄養素を添加することの根拠
 	
8.5.	政策の検討材料
8.6.	食品に微量栄養素を添加する法的側面
8.7.	食品への微量栄養素添加の有効性
8.8.	参考文献
 
	
 健康におけるプロバイオティクスとプレバイオティクス
9.1.	はじめに
9.2.	健康に関わるプロバイオティクス細菌の概説
9.2.1.	はじめに
9.2.2.	プロバイオティクスと食事調整
9.2.3.	プロバイオティクス細菌の概念
9.2.4.	プロバイオティクス菌株の選択
9.2.5.	結論
9.3.	健康におけるプレバイオティクスの概説
9.3.1.	はじめに
 	
9.3.2.	プレバイオティクス
9.3.3.	難消化性オリゴ糖の難吸収性
9.3.4.	大腸内の発酵作用―プレバイオティクス効果
9.3.5.	消化器官における生理学的効果
9.3.6.	プレバイオティクスと結腸がんの危険性
9.3.7.	健康に対するプレバイオティクスの有益性
9.3.8.	結論
9.4.	参考文献
 
	
 植物性エストロゲンと健康
10.1.	はじめに
10.1.1.	植物性エストロゲンとは何か,何に含まれているか
10.1.2.	イソフラボン類
10.1.3.	クメスタン類
10.1.4.	リグナン類
10.2.	食事による摂取
10.2.1.	ベビーフード
10.2.2.	要点
10.2.3.	健康への影響
10.3.	心疾患
10.3.1.	植物性エストロゲンには血中コレステロール濃度を下げる可能性がある
10.3.2.	冠動脈性心疾患リスクに対するその他の効果の可能性
 	
10.3.3.	要点
10.4.	がん
10.4.1.	植物性エストロゲンの一般的な作用
10.4.2.	乳がん
10.4.3.	前立腺がん
10.4.4.	その他のがん
10.4.5.	要点
10.5.	骨粗鬆症
10.6.	要点
10.7.	更年期障害
10.7.1.	要点
10.8.	有害作用の可能性
10.9.	結論と推奨
10.10.	参考文献
 
	
 冠動脈性心疾患の予防と治療における栄養補助食品とその役割
11.1.	はじめに
11.2.	証拠
11.3.	CHDを予防する食生活改善の初期の試み
11.4.	食事療法試験
11.4.1.	魚
11.4.2.	ナッツ類
11.4.3.	食物繊維
11.5.	ホモシステイン
 	
11.6.	抗酸化物質
11.6.1.	ビタミンC
11.6.2.	β-カロチン
11.6.3.	ビタミンE
11.7.	アルコール
11.8.	植物ステロールとスタノール
11.9.	結論
11.10.	参考文献
 
	
 リウマチ性関節炎における魚油補充摂取の科学的根拠
12.1.	はじめに
12.2.	食事に含まれる脂肪酸
12.3.	免疫系
12.3.1.	免疫系とは何か,またどのように機能するのか
12.3.2.	免疫系内の伝達―サイトカイン
12.3.3.	炎症
12.3.4.	免疫反応の統合
12.3.5.	健康と疾患における免疫系
12.4.	リウマチ性関節炎
 	
12.5.	エイコサノイド―脂肪酸と免疫系の関係
12.5.1.	エイコサノイド合成
12.5.2.	炎症と免疫におけるエイコサノイドの役割
12.5.3.	エイコサノイドとリウマチ性関節炎
12.5.4.	魚油とエイコサノイド
12.6.	免疫機能における魚油の作用
12.7.	魚油のリウマチ性関節炎への介入
12.8.	結論とコメント
12.9.	参考文献
 
索引